「柚姫!ついたよ~。降りてぇ。」

祐芽の背中につかまっていた私は、ピョンっと自転車からおりた。

「自転車、ここに置いといていいかなぁ?」

門の前で、祐芽が、自転車をどうするか悩んでいる。

「すぐ帰ってくるし、そこでいいよぉ★」

私の返事で、祐芽は自転車をその場所に置いて私の所まできた。

「そういやぁ、今って何時?」

携帯を見ると、まだ11時を過ぎた所。

「悟達はたぶん、教室にいると思うし、教室目指そっか!」

「アイアイさぁ♪」

敬礼の真似をしながら祐芽と遊ぶ。

「ねぇ、祐芽。先生達にバレない?」

今さら、サボってました何て言えない。特に、生徒指導の杉本には……殺させる。

「逃げる……しかないっしょ。」

だんだん、教室に近くなっていく。何か、人気少ない…って思うけど、特に気にならなかった。

「悟~。和詩~。いる…………」

祐芽の言葉がつまった。何で……って……

今って

「授業中……?」

小さな声で、私は声を漏らした。

「そうだが?」

しかも……その授業は、杉本の授業。

「ヤバい!柚姫。行こ!……あっ!悟と和詩。……門で待ってる♪」

それだけ言って、祐芽は私の腕を引っ張る。

「あっ!祐芽。よしッ和!行くぞ。」

教室の方から声がした。悟の元気な声。

「おいっ♪チョッ……しゃーねぇ。」

二人の、足音が、後ろから聞こえる。
今からは、和君と一緒だと思うと、嬉しくなった。

「柚姫?和詩は絶対、柚姫を裏切らないから、和詩にも、どんどん、頼っていいんだよ?」

後ろから和君が来ていた。私は後ろを向いた。

「うん。わかった!………和君ー急げぇ♪」

私の声が、廊下全体を包んだ。

こんな静かなところで、大きい声出したことないから、自分が、笑えてきちゃったよ!

「柚姫~そこで待ってろよぉ」

和君の声が、私の声にかぶった。