「優也君と洸也君にも、忘れず声掛けておいてよ。」


「分かってるよ。優と洸にも私から伝えるね。ややママと一緒に入学式行くんでしょ?」


「えぇそうよ、結愛も優也君と一緒に登校するんでしょ、時間大丈夫なの?」


腕時計を確認すると、約束の時間より10分も過ぎていた。


「やばっ、優にまた怒られる。行ってきます‼」


片手に持っていたお弁当を鞄へ入れる余裕もないまま、私は家を飛び出した。


「行ってらっしゃい。気をつけてね。」


玄関のドアがゆっくり閉まる中、ママの声に一瞬だけ振り向くと、優しい笑顔で手を振って見送ってくれた。


「うん!」と元気に応えると、私は急いで隣の池田家へ向かった。