「先行くぞ。」


「あっ!ちょっと待ちなさい和真!!」


怒っている私を横目に、和真はさっさと出て行ってしまった。


もー、和真の奴いっつもバカにして。


「和真、先行っちゃったの?また今日から同じ学校行くんだから、前みたいに一緒に行けばいいのに。」


スリッパの音をパタパタと響かせながら、正装したママが玄関まで見送りに来てくれた。


「和真は私より、洸や優と一緒に行く方が良いに決まってる。和真の奴、また私のことバカにしてくるんだから。」


「まぁまぁ、手が離せないママの代わりに、結愛にお弁当を届けてくれたんだから、優しい弟じゃないの。」


「そーだけど…」


腹を立てていたものの、ママの話を聞いて納得することにした。