「おはよ。具合はどうですか」

…ちぃ君だ!

「大丈…夫…ケホッケホッ…」

「あーあ、無理に喋らなくていいから。
まだ熱下がってないのか…」

私はコクっと頷いた。

「昨日の夜、紫音の事務所に連絡しておいたから。
そしたら社長さんとマネージャーの人めっちゃ謝ってたよ

治るまでゆっくり休んでだって」

そうだ、今週は仕事あったから迷惑かけちゃったかな…

「ありがと…ケホッ、ちぃ君…ケホッケホッ…」

「ほらむせるじゃん…喋らなくてもわかるから大丈夫。
あ、あと今日面会終了まで居ようと思うんだけど、良い?」

…え!?面会終了まで居てくれるの?
それを聞いただけですごい嬉しい気分になれた。

「ふはっ、そんなに嬉しい?」

私がキラキラした目で見てたんだろう。笑

頭痛のする頭をかばいながら何度か頷いた。
今、自分が動けないことと喋れないことに腹が立つ…

なんか、いつも以上にちぃ君が愛おしくてたまらないのは、熱のせいなのかな。
ギュってしたい。大好きだよって言いたい。

そういう気持ちを込めて、ベットのそばに置いているちぃ君の手に触れる

「ん?どうした?」

今はこんなことしかできない。
そんな私の言いたいことがわかったのか、

ちぃ君はふわりと抱きしめてくれた。

「早く元気になって。
家、紫音居ないとすげえ寂しい」

私だって寂しいよ…
点滴の繋がっていない右手で、私も抱きしめ返した。

しばらくするとちぃ君は離れようと力を緩めてきた
けど、まだこの温もりを感じてたくて…

さっきよりも強く抱きしめてしまった。

「うぉっ…なーんだよ紫音、 珍しいね」

そう言いながらも頭を撫でてくれる。

「はい紫音、そろそろ離れて?
静かに寝とかないと治んないよ」

…ちぇっ。こうしてた方が絶対治ると思うんだけどな。
渋々離れて横になる。

熱って凄いよね。ずっと眠たいし、すぐに寝ることができる。
ちぃ君の大きな手のぬくもりを感じながら眠りについた。