「お帰り。」
「夕飯出来ているから、さっさと食べて
風呂に入ってらっしゃい。」
毎日同じ台詞を尻目に見る。
そのまま2階へ上がり、荷物を置いて
食卓へ向かおうとした。
それが日課だった。
自分の部屋のドアを開けると
そこには知らない人間がいた。
誰だ。身体が硬直する。
目が合った。
怖い。殺される。
しかしそいつは驚きもせず、胡座をかいて
こちらを見ていた。
泥棒ではなさそうだ。
「お、やっと来たな。」
微笑んで俺を歓迎してきた。
は?何で同じ顔?
よく見ると輪郭も骨格も
鏡で見ている自分と同じだ。
体格や雰囲気は全く違うが
俺だと直感で判断した。
「誰だ!」
「いや、怪しい者とかではないから
安心して!俺?俺はお前だよ
林昌樹(はやし まさき)」
そいつはあっけらかんと言ってのけた。
「昌樹、何をしてるの、
早くご飯を食べなさい。」
遠くで母さんの声が聞こえた。
「今行くー。」
そいつが応えた。
母さんは一切違和感に気付かない。
「お前、腹減ってねーの?
なら(俺)が貰うからお前はそれまで
大人しく此処で待っとけよ。」
そいつはそそくさと階段を降りていった。
あいつは一体誰なんだ。酷く困惑した。
同姓同名?いや他人だろ。
今すぐ問いただしに行かないと。
いや待て、今降りたらマズイ予感がする。
落ち着け、落ち着け!
しばらくするとそいつは戻ってきて、
次はお前の番な。話あるから
早く風呂に入って来いよと促した。
現状に気が気でないが、今はとりあえず
そいつの言う通りに風呂に入る事にした。
脱衣所の扉は既に開かれており、
そこで洗濯物を取り込んでいた
母さんとばったり会った。
俺は何も気にすることなく服を脱ぐ最中、
母さんがそういえばとある物を渡してきた。
「これ、テーブルの下に落ちていたけど、
大事な物なんじゃないの?
しっかり持っておきなさいよ。」
そう言い残し、微笑みながら去っていった。
渡されたのは、小さな手作りストラップ。
ふわふわとしたクッションに
刺繍がされている。
よく見ると「マサ、ファイト☆」と
文字が描かれていた。
何だ?俺はこんな物知らない。
気味が悪いのでゴミ箱に捨てようと思ったが
何故か手が進まなかった。
後で考えようと思い、
そのまま洗面台の上に置いた。
「夕飯出来ているから、さっさと食べて
風呂に入ってらっしゃい。」
毎日同じ台詞を尻目に見る。
そのまま2階へ上がり、荷物を置いて
食卓へ向かおうとした。
それが日課だった。
自分の部屋のドアを開けると
そこには知らない人間がいた。
誰だ。身体が硬直する。
目が合った。
怖い。殺される。
しかしそいつは驚きもせず、胡座をかいて
こちらを見ていた。
泥棒ではなさそうだ。
「お、やっと来たな。」
微笑んで俺を歓迎してきた。
は?何で同じ顔?
よく見ると輪郭も骨格も
鏡で見ている自分と同じだ。
体格や雰囲気は全く違うが
俺だと直感で判断した。
「誰だ!」
「いや、怪しい者とかではないから
安心して!俺?俺はお前だよ
林昌樹(はやし まさき)」
そいつはあっけらかんと言ってのけた。
「昌樹、何をしてるの、
早くご飯を食べなさい。」
遠くで母さんの声が聞こえた。
「今行くー。」
そいつが応えた。
母さんは一切違和感に気付かない。
「お前、腹減ってねーの?
なら(俺)が貰うからお前はそれまで
大人しく此処で待っとけよ。」
そいつはそそくさと階段を降りていった。
あいつは一体誰なんだ。酷く困惑した。
同姓同名?いや他人だろ。
今すぐ問いただしに行かないと。
いや待て、今降りたらマズイ予感がする。
落ち着け、落ち着け!
しばらくするとそいつは戻ってきて、
次はお前の番な。話あるから
早く風呂に入って来いよと促した。
現状に気が気でないが、今はとりあえず
そいつの言う通りに風呂に入る事にした。
脱衣所の扉は既に開かれており、
そこで洗濯物を取り込んでいた
母さんとばったり会った。
俺は何も気にすることなく服を脱ぐ最中、
母さんがそういえばとある物を渡してきた。
「これ、テーブルの下に落ちていたけど、
大事な物なんじゃないの?
しっかり持っておきなさいよ。」
そう言い残し、微笑みながら去っていった。
渡されたのは、小さな手作りストラップ。
ふわふわとしたクッションに
刺繍がされている。
よく見ると「マサ、ファイト☆」と
文字が描かれていた。
何だ?俺はこんな物知らない。
気味が悪いのでゴミ箱に捨てようと思ったが
何故か手が進まなかった。
後で考えようと思い、
そのまま洗面台の上に置いた。