ガサッ
ドサッ
サンダルを履いて
玄関の鏡で
帽子の位置を
確認していると
外で
人が転んだような
異様な物音がした
あなたっ…!
誰!?
何しているの!!!
慌てて外に出ると
先に出ていた
おばあちゃんと
誰かが
もみ合っていた
そこに居たのは
紛れも無く
シュウの彼女だった
家の前だけ
水を撒いたみたく
濡れていて
鼻をつく
むせるような
強烈な臭いがした
!!
これ
灯油の臭い…!!
アタシは
とっさに
おばあちゃんを
退けて
長い彼女の髪を
わしづかみにして
突き飛ばした
アタシ
キレて
自分で
コントロール
出来ないくらい
体が勝手に動いて
もう
止まんなかった
ライターを
取り出そうとした
彼女の右手を
足で踏み付けて
更に
キックを加えた
彼女の口が動いて
何か言ってる
ようだけど
激情してる
アタシには
何も
聞こえない
楓!!
止めなさいっ!!!
おばあちゃんの声は
どこか
冷静に捉えていたけど
右手は
拳で
何度も
彼女を殴っていた
楓!!!!
おじいちゃんが
力づくで
アタシを
押さえこんだ
うあああああああああぁぁぁぁ!!!!!!!!
ケモノ
みたいな
声出して
アタシは
気を
失った