大の大人が
号泣するのを
初めて見た

シュウ母は
この世の
終わりみたく

泣き叫んで




泣かないで
元気を出して
立ち直ってください

………
そんな安い言葉
かけるのは
失礼だよね


どうしようも無い
現実が
痛いよ



いっそのこと
シュウの
後を
追って

逝ってしまおうか−−−


ダメ！！



えっ？！



真っ赤な
腫れた目をした
シュウ母が
ガバッと
顔を上げた



シュウを追っては
ダメだよ！！




アタシ

シュウを
追いかけたい
って

思っただけで
口に出してない…

…あ

…あ…そっか
シュウなんだ

おばさんに
気持ちを
伝えたのは
この場合
シュウしか
いないよね？



生きてちょうだい…

シュウの
代わりに

おばさん
楓ちゃんを
支えるよ！

それが
おばさんができる
最後の
シュウへの愛情さ！

だから
楓ちゃん
馬鹿なこと
すんじゃないよ！
いいね？



…はい





生きることが
アタシにできる
唯一の事なら

アタシも
そうする

おかーちゃんの
人生のついで
みたいに
生まれて

アタシのせいで
おじいちゃん
おばあちゃんも
犠牲になってるけど

アタシが
なんか一つでも
他の人の
役に立つのなら


アタシは
そうありたい…！




仏壇の
ろうそくの炎が
激しく揺れた


かえで………………




シュウ？



また
体に
フワッと
風が当たって

すぐ
元の静かさに
戻った



本当に
逝っちまったねぇ……



…そうですね…
たった今…




待っててくれて
ありがとう




しばらく
本当にお別れだね……