こんにちは−…


シュウの家の
玄関をガラガラと
開けると

線香の煙りが
ゆらゆらと
漂っていた

ついこの前
シュウに
連れて
来られた時とは
随分違う
雰囲気だ


玄関は
開いていたのに
返事がない

家主に断り無く
アタシは
導かれるみたく
家に上がった

足が赴くままに
進むと
シュウの
お母さんが

一人
仏壇に向かって
うなだれていた



あの…



シュウのお母さんは
ビクッとして
振り向いた



楓ちゃん!
待ってたよ



泣き腫らした目に
また涙を滲ませ

アタシの
手を引いた



シュウに
手を合わせてあげて

シュウ
楓ちゃんよ!

アンタ
ずっと
楓ちゃんを
待ってたでしょ?



静かに目を閉じて
シュウに
手を合わせる


ふわりと
首に
風を感じた

シュウが
アタシを
抱きしめたんだ

見えなくても
アタシには
分かった



これで
安心したかい…?
……




シュウの
遺影は

優しい
穏やかな

眩しい
笑顔だった




夢だと
思う



とても

悪い



だと………





ありがとね

ありがとね



そう言いながら
シュウのお母さんは
泣き崩れた



しばらく泣いた
シュウ母は

奥から
携帯電話を
持って来た



シュウの携帯
楓ちゃんに
あげる

もう
使えないけど
メールなんかが
まだ
そのままだから

……

シュウの
支えは
楓ちゃん
だったみたい…

今日は
来てくれて
本当に
ありがとうね…