アタシと
おばあちゃんは
新幹線に乗った
おばあちゃんは
口数が減ったままだ
おばあちゃん
ん？
赤ちゃんだった
アタシを
田舎連れて帰る時
写真
破ったの
やっぱ
おばあちゃん？
…そう
おばあちゃんよ
なんで？
おばあちゃんね…
咲和が一人で
あなたを
育ててる姿
…耐えられなかったの
アタシにも
何があったのか
教えてよ
知る権利
あるっしょ？
おばあちゃんは
ちょっと
ためらって
外の景色を
ぼんやりと眺め
それから
静かに語った
…おばあちゃんだって…
辛かった…
今も…
まだ
おばあちゃん
苦しい
アタシには
おばあちゃんの
一言が
ずんと重く
受け取りきれない
くらいの
危うさを感じる
あの時
何日も
咲和と
連絡が取れなくて
様子を
見に行ったら
アパートの
管理人から
赤ん坊の声が
朝から止まない
って言われて
呼んでも
返事が無いから
鍵を開けてもらって
部屋に入ったの
そしたら
楓一人
置き去り
しかも
脱水症状で
グッタリで
部屋は
めちゃくちゃだし
おばあちゃん
何が起きているのか
理解出来なかった
咲和は
戻って来たけど
一切
事情は
話さないし
仕事も
変えたみたいで
呼び出しが
どんどん入るし
それはそれは…
毎日が修羅場って
ああいう事ね…
だから
おばあちゃん
拒否する咲和から
強引に…
楓を
こっちに
連れて来たのよ
おばあちゃんは
また
家に着くまで
黙ってしまった
アタシの誕生が
みんなの人生を
狂わせたのかな…
実は
アタシ
おかーちゃんと
大林とのアレを見て
警察沙汰に
ホテル缶詰とか
シュウと
その彼女とか
そういうの
考え込み過ぎて
夜
まともに
眠れなく
なってるんだ…
