次の日の朝
アタシ
起きられなかった
かえちゃん
どうしたのー?
心配した
おかーちゃんが
アタシの傍に来た
ちょっと
だるいだけ…
あれ?
おかーちゃんこそ
仕事行く時間
じゃない?
そーなんだけど
なんか
お腹痛くて
生理かな…
今日
休むよ
おかーちゃんの顔は
青白い
おかーちゃん
寝てなよ
アタシ
平気だから
悪いけど
じゃ
そうさせて
もらうねー…
おかーちゃんは
そのまま
ベッドに横になった
アタシ
おかーちゃんの
ために
薬局から
鎮痛剤
買って来たり
ホットココア
作ってみたけど
おかーちゃんの
腹痛は
酷くなる一方だ
おかーちゃん!
医者
行こ!
痛いの
だんだん
酷くなってるし
医者かぁ…
じゃぁ…
かえちゃん
タクシー呼んで
あと
ここ電話してくれる?
おかーちゃんが
渡したのは
谷口医院の
診察券
婦人科・産科
って書いてある
おかーちゃんね
何かあると
いつもここ行くから
分かった
タクシーは
すぐに来て
谷口医院の
真ん前で止まった
医院は
暗くて古い
昔の
建物で
きらびやかで
ハデ好きな
おかーちゃんが
この
医院に
通ってるなんて
ちょっと驚きだ
小さな
医院だけど
中には
何人もの
妊婦さんが
待っていた
おかーちゃんの
状態を話すと
すぐ
診察室に
通された
お医者さんは
初老の女医で
おかーちゃんの
部屋にあった
アタシが
産まれた時の
写真に
並んで
写っていた人だった
谷口先生は
アタシを見て
手を止めた
へぇー
フッ
と
一瞬
笑って
再び
おかーちゃんの
診察に
手を戻した