クルマに
押し込められて

アタシは
木野さんと一緒に
ホテルに入った



落ち着いて聞いてね

楓ちゃんは
大林さんのこと
知ってるかな?


大林さんて誰ですか?


あなたのお母さんの
パートナーよ
仕事とプライベートと
両方のね



アタシ
また

吐き気がする
くらいの
インパクトで

あの光景を
思い出した



その大林さんが
麻薬で逮捕されたの


おかーちゃんは!!?
おかーちゃんも
麻薬使ってたの!?

やだっ
だって
マンションに
そんなの
なかったし

おかーちゃんの…
おかーちゃんは…
おかーちゃんが…!


楓ちゃん!
大丈夫!!
紺野はしてないから!
大丈夫!
大丈夫よ!


唇が
ガタガタ震えて


怖い

怖い

怖い


楓ちゃん
聞いて!

私は会社に
戻らないといけない

紺野が居ない今
会社を仕切れるのは
私しかいない

必ずここに戻るから

食事は
ルームサービスにして
一歩も
ここから出てはダメ

外には
マスコミが来て
あなたを
嗅ぎ付けるかも
しれない

私が
会社も
楓ちゃんも
守るから!!



木野さんは
アタシの手を
ぎゅっと握って

部屋を出た



おいてかないで



おいてかないで
木野さん



いかないで



アタシを




ひとりぼっちに
しないで……!












そして

アタシは

その日から

眠れなくなった



おかーちゃんと
あの大林とかいう男の
セックスが

激しくアタシを
消耗させて

思い出す度の
吐き気が
止まんなくて


生まれて初めて

ご飯なんて
食べたくない



おばあちゃんに
来てもらうのも


無理…


アタシの存在が
マスコミにばれたら

おかーちゃんの
終わり…


おばあちゃん…
おじいちゃん…

……

………




おかーちゃん………