おかーちゃんは
時計を
しきりに
気にしていた

多分
どうしようもなく
仕事が手に
つかなくなって

木野さんに
無理言って
来たに
違いない




おかーちゃん
アタシ達
帰ろ

おかーちゃん
仕事
あるでしょ?

ここからなら
おかーちゃんち
すぐ帰れるじゃん?

アタシ
一人で
帰れるからさ

なるべく
学校
休みたくないし



もしかして
あんた達
違うとこに
住んでんのかい?!



おかーちゃんが
今までの
いきさつを
話すと

おばあちゃんは
自宅の住所と
電話番号を
アタシに教えた


おばあちゃんの
住む家は

おかーちゃんちの
隣の街だった



楓ちゃん
咲和さんの所に
来たら

ついでに
おばあちゃんの
家に寄って

必ずだよ

敦が
落ち着いたら
連絡するからね

必ず来て
ちょうだいよ!



おばあちゃんは
アタシを

初めて

抱きしめた


おばあちゃんの手は
荒れて
ひび割れて
ガサガサだった

働き者の性格が
滲み出ているみたい



アタシに

こんな瞬間が
訪れるなんて

予想してなかった



アタシは
おかーちゃんの人生の
オマケで

アタシは
おかーちゃんに
棄てられて

アタシは
育ててくれた
おじいちゃん
おばあちゃんの
お荷物で……………

……………




なのに




愛されていた




アタシ



一人ぼっち

じゃ

なかったよ