誰も
笑顔見せない
重い空気が
絶えず
流れる

おとーちゃんの
親族は
おばあちゃん
だけ?

他に
ここに居るのは
救助隊の人と
地元に
住んでいる人



おばあちゃんは
固くなって
椅子に
腰掛けたまま

差し入れに
おにぎりや
お茶を
出されても

とても
食べられそうな
感じじゃない


深夜1時

ふと
おばあちゃんが
立ち上がる

コートを着て
マフラー巻いて
ニット帽を被る



息子を捜しに行きます



歩き出した
おばあちゃんを

救助隊の人が止めた



外を見てみろ!!
こんな吹雪の中
山に入ったら
ばあさんまで
死んじまうぞ!!



息子は私が
育てたんだ!
これ以上
あんたがたに
迷惑かける訳には
いかない!



ばあさん
いいか!
この山には
迷った人のための
山小屋が作ってあるんだ
もしかしたら
息子さんは
そこに
居るかも知れない
吹雪が
止んだら
すぐ行って
見てくるから
落ち着いて!!



おばあちゃんは
よろけながら
元の椅子に
腰掛けた



おかーちゃんは
公衆電話に張り付いて
いた

仕事
また
木野さんに
押し付けて来たのかな…











朝4時
暗闇が緩んだ頃

嘘のように
吹雪が静まった

周りは
ここぞとばかりに
急激に
動き出す














おとーちゃんが
見つかったのは








すぐ
だった