「お疲れさまでしたぁ」

ロッカーにカバンを取りに行きトイレに入る


テカテカの顔を油取り紙でキレイにして軽くファンデーションを塗る


「行ってきます!」

鏡の中の自分にそう言って店を出た。


車に乗った私は多田君に電話する


「あっ、もしもし今バイト終わったよ。どこに行けばいいかな?」


「お疲れさま。今は、こないだ来たカラオケにツレ達と来てるから、こっちまでこれる?」
ガヤガヤと騒がしい


「前のとこね分かった。すぐ着くけど、もうむかっていいの?」


「いいよ。俺、駐車場出とくわ」


「じゃ〜今から出るね」


5分とかからない場所
車を走らせる
今から私に告白されるとも知らない あなたの元へ…


着いたけど…どこかなぁ〜
こっちのカラオケ店も客の車でいっぱいだ。


店の入り口付近に壁にもたれて立っている多田君を見つけた。


こっちにむかって歩いてくる…

ルーズに着た白シャツにジーパン

ほんのり日に焼けたあまいマスク


あなたが、こっちにむかって歩いてくるだけで

ドラマのワンシーンを見ているようで…これが現実なのかと、うたがいたくなる。