「許さない…」
鬼姫は、今すぐにでも酒呑童子を殺しに行きそうな程の殺気を放つのだった。
若い鬼は、余りの殺気に逃げだそうとした、しかし足が震えて全く動かなかったのだ。
そんな若い鬼を睨みつける鬼姫。
彼は、蛇に睨まれた蛙のように全く動けなくなってしまっていた。
「おっ、おっ、鬼姫様…殺さないで」
若い鬼は、震える声で必死に訴えかける。
鬼姫は、その様子を見ていると自分が醜い存在になっていくような恐ろしい気持ちになった。
「ごめんなさい…」
さっきまでの恐ろしい鬼姫とは、打って変わっていつもの優しい鬼姫に戻っている。
その変わりように若い鬼は、不気味さを覚えつつも、ほっと胸をなでおろすのだった。
「すまんな、鬼将軍…いや。酒呑童子は、私の父を殺した男なのだ…」
鬼姫は、鬼祭の開催を伝える鬼の舞が始まる寸前まで父の思い出を若い鬼に語るのだった。
そして、鬼の舞が始まった。
鬼姫は、先ほどまでの怒りなど、微塵も感じさせない、美しい舞を舞って見せ、会場をおおいに盛り上げたのだ。
「どうじゃた?私の舞は?美しかっただろ?」
少女のような無邪気な笑顔で聞いてくる鬼姫に、若い鬼は、思わず顔を紅く染めそうになりあわてて目をそらした。
しかし鬼姫は、目をそらされた事が不服だったのかほっぺを膨らませて怒っている。
それを横目で見てしまったものだから若い鬼は、思わずにやけてしまうのだった。
「何をにやけているのだ。いやらしいやつじゃのー」
他の若い女性鬼達もいるのにそんな事を言い出す鬼姫。
若い鬼は、恥ずかしさで顔を真っ赤に染め上げ、穴があれば入りたいと願うのだった。
そんなこんなで2人は、鬼祭を楽しんだ。
「ところでお主、名をなんと言う?」
突然の、質問に若い鬼は、驚いた表情を見せ、固まっている。
「おい?聞いておるのか?」
鬼姫にそう聞かれ、若い鬼は、やっと答えた。
「茨木童子です」
「よい名じゃ。茨木よろしくな」
「はい」
しかし、楽しい時間は、いつまでも続かなった。
「おいおい、いちゃついちゃってよ」
そう言って声をかけてきた鬼の首には、例の鈴と同じ模様の刺青が入っていた。
「あっ…あんた、確か…」
思わずそう口走る茨木童子。
「なんじゃ?知り合いか?」
「いえ、あの男です。私に鈴を渡してきたのは」
「そうか…あやつか」
鬼姫は、再び凄まじい殺気を放つのだった。
その殺気に周囲の鬼たちは、逃げ出し、茨木童子も腰を抜かしそうになるほどだった。
「へー、なかなかの殺気出せてるじゃん」
酒呑童子だけは、鬼姫の殺気を浴びて生き生きしている。
こっ…この男は、ヤバすぎる…
茨木童子は、酒呑童子の狂気に飲み込まれそうなっていた。
かろうじて正気で居られるのは、鬼姫のおかげだろう。
鬼姫も、震えていた。
しかしそれは、恐怖からの震えでは、なく武者震いだ。
ツノの力を全て出し切って戦う鬼姫。
しかし、全ての攻撃が紙一重でかわされるのだ。
何かおかしい…まるで心が読めてるような…
鬼姫は、そんな違和感を感じていた。
それを汲み取ったのか、酒呑童子は、話しかけてきた。
「俺は、お前の動きを読んでるだけさ。確かにツノの力だけならお前の方が上かも知れない。だが戦い方が荒すぎなんだよ」
そう言うと酒呑童子は、鬼姫のお腹に一撃入れるのだった。
その一撃で勝負は、ついた。
「ぐはっ…」
鬼姫は、その場に倒れた。
「ふん…期待したがしょせんは、こんなものか…。そうそう、次は、桃太郎と言う男を殺して仏の力を奪い閻魔を討つ。止めたければ地獄に来い」
本当は、酒呑童子自身、自分を止めて欲しかったのかもしれない。
しかし、もはや自分では、暴走を止められず、鬼姫に頼ったのかもしれない…
「鬼姫様しっかりしてください。鬼姫様ー」
薄れゆく意識の中鬼姫は、最後に茨木童子の声を聞いていた。
そして彼女は、夢をみるのだった。
それは、小さい酒呑童子と父と鬼王が仲良く遊んでいる夢。
なぜそれが酒呑童子達だと分かったのかは、分からない。
ただ何となくそんな気がしたのだ。
みんなすごく仲良く走り回っていた。
「次は、鬼王が鬼な」
「ちぇ、1.2.3…」
彼らは、鬼のくせに鬼ごっこをしている。
鬼姫は、思わず声を出して笑ってしまった。
「あはは」
「おい、そこにいるのは、誰だ?」
気づかれるはずのない鬼姫は、なぜか酒呑童子に気づかれたのだ。
えっ?なんで?
「なんだカーリーじゃないか」
カーリー?それってあ母さんの名前…
私、もしかしてお母さんの記憶を見てるの?
「カーリーも、一緒にやろうぜ」
酒呑童子は、私の腕を引っ張って行くのだった。
お母さんの、記憶のせいだろうか?
酒呑童子に腕をつかまれても嫌な気持ちにならなかった。
むしろ逆に安心感すらも感じられたのだ。
私達は、夢の中でずっと遊んでいた。
鬼の中の酒呑童子は、優しくて頼りになってとてもかっこよかった。
逆にお父さんは、たよりないし、ドジばっかりだけど、誰よりも優しくて何より人を思いやる気持ちと人一倍努力をする。
そんな所にお母さんは、引かれて行くのを鬼姫は、一緒に感じるのだった。
最後に、お母さんが夢の中に出てきて、こう言った。
「酒呑童子を助けて」
そこで夢は、覚めた。
あの夢は、なんだったんだろ?
しかし、考えても仕方ない。
そう思い直し、鬼姫は、地獄に行くための準備を整えるのだった。
鬼姫は、今すぐにでも酒呑童子を殺しに行きそうな程の殺気を放つのだった。
若い鬼は、余りの殺気に逃げだそうとした、しかし足が震えて全く動かなかったのだ。
そんな若い鬼を睨みつける鬼姫。
彼は、蛇に睨まれた蛙のように全く動けなくなってしまっていた。
「おっ、おっ、鬼姫様…殺さないで」
若い鬼は、震える声で必死に訴えかける。
鬼姫は、その様子を見ていると自分が醜い存在になっていくような恐ろしい気持ちになった。
「ごめんなさい…」
さっきまでの恐ろしい鬼姫とは、打って変わっていつもの優しい鬼姫に戻っている。
その変わりように若い鬼は、不気味さを覚えつつも、ほっと胸をなでおろすのだった。
「すまんな、鬼将軍…いや。酒呑童子は、私の父を殺した男なのだ…」
鬼姫は、鬼祭の開催を伝える鬼の舞が始まる寸前まで父の思い出を若い鬼に語るのだった。
そして、鬼の舞が始まった。
鬼姫は、先ほどまでの怒りなど、微塵も感じさせない、美しい舞を舞って見せ、会場をおおいに盛り上げたのだ。
「どうじゃた?私の舞は?美しかっただろ?」
少女のような無邪気な笑顔で聞いてくる鬼姫に、若い鬼は、思わず顔を紅く染めそうになりあわてて目をそらした。
しかし鬼姫は、目をそらされた事が不服だったのかほっぺを膨らませて怒っている。
それを横目で見てしまったものだから若い鬼は、思わずにやけてしまうのだった。
「何をにやけているのだ。いやらしいやつじゃのー」
他の若い女性鬼達もいるのにそんな事を言い出す鬼姫。
若い鬼は、恥ずかしさで顔を真っ赤に染め上げ、穴があれば入りたいと願うのだった。
そんなこんなで2人は、鬼祭を楽しんだ。
「ところでお主、名をなんと言う?」
突然の、質問に若い鬼は、驚いた表情を見せ、固まっている。
「おい?聞いておるのか?」
鬼姫にそう聞かれ、若い鬼は、やっと答えた。
「茨木童子です」
「よい名じゃ。茨木よろしくな」
「はい」
しかし、楽しい時間は、いつまでも続かなった。
「おいおい、いちゃついちゃってよ」
そう言って声をかけてきた鬼の首には、例の鈴と同じ模様の刺青が入っていた。
「あっ…あんた、確か…」
思わずそう口走る茨木童子。
「なんじゃ?知り合いか?」
「いえ、あの男です。私に鈴を渡してきたのは」
「そうか…あやつか」
鬼姫は、再び凄まじい殺気を放つのだった。
その殺気に周囲の鬼たちは、逃げ出し、茨木童子も腰を抜かしそうになるほどだった。
「へー、なかなかの殺気出せてるじゃん」
酒呑童子だけは、鬼姫の殺気を浴びて生き生きしている。
こっ…この男は、ヤバすぎる…
茨木童子は、酒呑童子の狂気に飲み込まれそうなっていた。
かろうじて正気で居られるのは、鬼姫のおかげだろう。
鬼姫も、震えていた。
しかしそれは、恐怖からの震えでは、なく武者震いだ。
ツノの力を全て出し切って戦う鬼姫。
しかし、全ての攻撃が紙一重でかわされるのだ。
何かおかしい…まるで心が読めてるような…
鬼姫は、そんな違和感を感じていた。
それを汲み取ったのか、酒呑童子は、話しかけてきた。
「俺は、お前の動きを読んでるだけさ。確かにツノの力だけならお前の方が上かも知れない。だが戦い方が荒すぎなんだよ」
そう言うと酒呑童子は、鬼姫のお腹に一撃入れるのだった。
その一撃で勝負は、ついた。
「ぐはっ…」
鬼姫は、その場に倒れた。
「ふん…期待したがしょせんは、こんなものか…。そうそう、次は、桃太郎と言う男を殺して仏の力を奪い閻魔を討つ。止めたければ地獄に来い」
本当は、酒呑童子自身、自分を止めて欲しかったのかもしれない。
しかし、もはや自分では、暴走を止められず、鬼姫に頼ったのかもしれない…
「鬼姫様しっかりしてください。鬼姫様ー」
薄れゆく意識の中鬼姫は、最後に茨木童子の声を聞いていた。
そして彼女は、夢をみるのだった。
それは、小さい酒呑童子と父と鬼王が仲良く遊んでいる夢。
なぜそれが酒呑童子達だと分かったのかは、分からない。
ただ何となくそんな気がしたのだ。
みんなすごく仲良く走り回っていた。
「次は、鬼王が鬼な」
「ちぇ、1.2.3…」
彼らは、鬼のくせに鬼ごっこをしている。
鬼姫は、思わず声を出して笑ってしまった。
「あはは」
「おい、そこにいるのは、誰だ?」
気づかれるはずのない鬼姫は、なぜか酒呑童子に気づかれたのだ。
えっ?なんで?
「なんだカーリーじゃないか」
カーリー?それってあ母さんの名前…
私、もしかしてお母さんの記憶を見てるの?
「カーリーも、一緒にやろうぜ」
酒呑童子は、私の腕を引っ張って行くのだった。
お母さんの、記憶のせいだろうか?
酒呑童子に腕をつかまれても嫌な気持ちにならなかった。
むしろ逆に安心感すらも感じられたのだ。
私達は、夢の中でずっと遊んでいた。
鬼の中の酒呑童子は、優しくて頼りになってとてもかっこよかった。
逆にお父さんは、たよりないし、ドジばっかりだけど、誰よりも優しくて何より人を思いやる気持ちと人一倍努力をする。
そんな所にお母さんは、引かれて行くのを鬼姫は、一緒に感じるのだった。
最後に、お母さんが夢の中に出てきて、こう言った。
「酒呑童子を助けて」
そこで夢は、覚めた。
あの夢は、なんだったんだろ?
しかし、考えても仕方ない。
そう思い直し、鬼姫は、地獄に行くための準備を整えるのだった。