その鈴の模様を見た瞬間、鬼姫の心の底から今まで抱いた事の無い程の憎しみが溢れ出して来るのを感じ、震えが止まらなくなっていた。

それとは、別に忘れていた記憶と恐怖が蘇ってきたのだ。

それは、鬼姫がまだ幼かった頃、の思い出。

鬼姫は、鬼王の本当の娘では、なかったのだ。

それでも鬼王は、本当の娘のように鬼姫を可愛がり、また鬼姫も本当の父親のように鬼王の事を慕っていました。

鬼姫の父は、鬼王を守る親衛隊の隊長で通称鬼将軍と、呼ばれていた。

彼は、強く、優しく、そして何よりも勇気があり、島のみんなに慕われていた。