「ねぇ。さっきから、待ってんだけど。」

「え?何を?」

「手。」

そう言われて、よく彼の手を見ると、
いつもはポケットに入れている手が私の方へ伸びている。

「手・・・」

「ぶつぶつ言いながら、何か躊躇してんなーって。」

「え!声に出てた!?」

「誰と重ねてんのか知らねぇけど、俺はふり払ったりしない」

「・・・・」

「で、どうすんの?」

「・・・でも、私、手汗が・・・」

「ほんと、お前は・・・」

そう言われて、あー、可愛く甘えられないってダメだなーと思ってたら、
私の左手がぐっと引っ張られた。