「人多いな。迷子になるなよ~。」

「あんたの方がね!」

あぁ、また可愛くない事を言ってしまったと
思っていたのもつかの間。
隣に居たはずが、広い背中が少し前に見える。

とっさにつかまろうとして、躊躇する。

手を握る・・・・
今の関係じゃそれはちょっと厳しい。

腕につかまる・・・
いやいや、更に密着し過ぎてダメだ。

服の裾・・・
ここで、「伸びるからやめろ」って、
手をふり払われた元彼を思い出し、一気に勇気がしぼむ。

結果・・・
とにかく必死について行こう、見失わないように。