そんなことを話しながら名前が呼ばれるのを待っていたけど、なかなか順番は来なくて。
キャンセルして場所を移ろうと立ち上がると、会計を終えたらしきお客さんが帰るところだった。

目線を上げると、そこにいたのは夏樹さんだった。その隣にはきれいな女の人。

この人があすかさんだろうか・・・。

気にしないように忘れようとしていたことが一気に思い出される。
なんでか動けない。なんでだろう。
こんなにも悲しいのは・・・。

夏樹さんも私に気付いて気まずそうな顔をしていた。
なんで、そんな顔するんですか・・・?
喉の奥が熱くなって、息苦しさを感じる。このままじゃ駄目だ・・・泣いてしまう。

「白沢?置いてくよ?」

後ろから修くんが私の手を引いた。

「知り合いだった?」

夏樹さんに聞こえるように言ったその声に、私は「ううん」と答えていた。
早くここからいなくなりたくて。私は俯くことしかできない。。
そんな私の肩を抱きながらお店の外へと連れ出した。

「あっ」

夏樹さんの声が遠くから聞こえた。

歩いてる途中で涙が零れる。

「もう少しだから。がんばれ」

修くんはそう言って私の背中をさすった。