「男の子にアクセサリーを貰ったのは初めてで・・・」

そう言うと夏樹さんは「そっか」とだけ返した。

子供っぽかったかな。23歳にもなってって。

「もう暗くなるね。そろそろ送っていくよ」

夏樹さんが立ち上がると室内に着信音が響いた。それは私のではない。

「ちょっとごめんね」

そう言って夏樹さんは電話に出る。
笑ったりしながら楽しそうに話していた。

電話から漏れる声は男性のものだとわかるけど、向こうの話していることはよく聞こえない。でも途中で声が女の人のものに変わったのが分かった。
夏樹さんを呼ぶ声。

その声に夏樹さんの表情はみるみる険しくなっていく。

「あすか・・・」

出会ってから一度も聞いたことのない、怖いとさえ思えるその声は、低く冷たいものだった。