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翌朝。

朝餉が運ばれて来ると、いつものように大王が現れた。

いつもと変わらない朝の風景。

ただ心なしか、大王の口数が少ない。

朝餉を終え、大王は立ち上がる。

いつものようにそのまま去るのかと思いきや、私の隣に来て、膝をついた。

そして、そのまま私を抱き寄せる。

その瞬間、ふわりと何かが薫った。

何?

「アヤ、覚えていて欲しい。
俺が愛しく思っているのはお前だけだと。
俺は、お前のためだけに生きているのだと。」

大王が私の耳元で囁くその声が、とても苦しげで切なく響く。

「??
………はい。」

私がよく分からないまま返事をすると、大王は、私を抱く手に一瞬力を込め、そして去っていった。

大王に抱き寄せられたのは、ここへ来た最初の頃以来。

また、あの時のように、胸がドキドキとうるさく鳴り響いていた。