大王に抱き寄せられた瞬間から、なぜか心臓が、落雷の時のように激しくドキドキと鳴り響いている。

なんで?
うるさい、この心臓。

自分でも何が起きているのか、分からない。


以前、ハヤに抱き寄せられた時は、こんな風にはならなかったのに。

口づけを交わした時も、私は驚いただけで、穏やかでいられた。

やっぱりハヤは特別なんだ。
大王と一緒だと、ハヤのように穏やかでいられない。
だから私は、ハヤと夫婦になるべきなのよ。



大王は、無言でいる私をそっと離して、立ち上がる。

「また明日来る。」

そう言って、去って行った。


また明日?

また明日。

また明日…


ふふっ
なぜか、笑みがこぼれる。

また明日…


ドキドキとうるさい心臓を抱えながらも、なぜか先程のような涙に濡れる心は消え去っていた。