嘘を見透かされて、私は頬がカッと熱くなるのを感じたが、幸い暗がりのお陰で大王には頬が赤くなっている事は分からないだろう。

「あの、お願いがあります。」

私は大王に言った。

「なんだ?」

大王は私の手を握り、尋ねた。

その瞬間に私の心臓はまたトクトクと大きな音で跳ね始める。

「っ!
あのっ! 私を里に帰らせてください。
私は里で大王に献上する絹を織らなければ
なりません。
お願いします。」

私は頭を下げた。

しかし、大王の返事は呆気なかった。

「それはできない。」

「どうしてですか?
大王なら、私のような里の者を相手に
しなくても、もっと相応しい…、そう、豪族の
お媛様を娶ればいいでしょう?」

私はそう訴えるけれど…