はあっはあっ
「遠いな…」
1-Aは玄関まで遠く、回り道をしないと校庭に出られない。
沢田少年はあの女の子に会いたくて、教室を抜け出した。
今のところ沙也にしかバレていない。
「何年生なんやろう」
「もしかして先輩やったり?!」
「でもかあいいなあ……あ、彼氏とかそりゃおるやんな……」
と、一人浮き沈みしながら校庭へ走った。あの子に会って何をするなど考えていない。なんつー単細胞。
ようやく沢田少年は校庭に出た。
「外で舞台作ってるんか?」
劇をやる予定なのは2-Cだけ。沢田少年は奈知から色々と各クラスが何をやるかを聞いていた。
「この忙しそうな状態で話し掛けるのは無理やな」
そう思い、沢田少年はとりあえず教室に戻っていったのだった。