「――、って、紅緒さん?」
まさか、本家に勝手に繋いでいるの? そんなことしていいんだろうか……。
「ああ。母上は本家の最奥に置かれている。影小路の本家は天龍(てんりょう)って山ん中にあってな。一応影小路家の拠点にはなってるんだけど、現当主も居つくことはなく、東京にある別邸にいる。さすがに山ん中じゃ利便さはないんだ」
「……ずっと、眠ってらっしゃるんだっけ?」
「母上の御身体は厳重に庇護(ひご)されている。母上が眠られた理由を知るのは、本家筋の人間と十二家当主とその周辺だけだ」
「じゅうにけ? って?」
私の問いかけに、黒藤さんは肯いた。