全然、俺のこと分かってないし。

これ、ちゃんと言わないと伝わらないそうだな......。

鈍感すぎる彼女に、


「......全然違う」



声が低くなる。

南といるとほんとに調子が狂う。



「南は、全然分かってないね」



「えっ?」



分かってなさすぎるから、ちゃんと聞いてて。


「俺が勘違いしたままでいいよって言ったのは......」



「俺は、誰にでもあんなことしないから、勘違いしたままで、そのまま期待してていいよってことだよ」



「......」



頭ポンポンとか初めてしたし。

咄嗟に出てしまった行動。

まぁ、その理由はどんだけお願いしても教えはしないけど......。


鈍感な南には伝わってない?


俺のことをよく見てた南なら、そんなこと誰にでもする人じゃないって分かってると思ってたけど......。


違うところ勘違いして、大事なところは勘違いしない。

俺の調子を狂わすのが上手すぎる。


──ねぇ。



「そういうのは、好きな子にしかしない」




......これで、分かった?

もっと俺だけを考えて欲しかったんだよ。


今まで知らなかったけど。

......俺って意外と独占欲強いらしい。