そのまま、勘違いしててよかったのに。



「朔先輩......い、今までありがとうございました。



大好きでした......」




......え。

今までありがとうございましたってなに勝手に終わらせようとしてんの?


それに、大好きでしたってなんだよ。


あんなに、好きって毎日のように伝えてきてたのに。

もう、俺のことは嫌いになったってこと......かよ。


俺、先輩なのにすげぇ後輩に振り回されてんじゃん。

そんなのこのまま、終わらせれる訳ない。



......俺が、まだ何も話してないのに帰るとかダメだよ。



今度は、俺の番。



「......勘違いしたままで、いいよ」





「......え」





勘違いしたままずっといてよ。


......もう、俺お前のこと離す気ないから。



その言葉とほぼ同時。


俺は、帰ろうとする南を後ろから抱きしめた──。



少しの沈黙が流れたあと、



「......え、どういうこ「ちょっと黙ってて」」




戸惑いが溢れる声で話し始めた言葉を遮った。


俺の中にすっぽりと収まる南に、いい意味で気が狂いそうになる。