処女なんて響きに怯みを見せる相手じゃなきゃいいとは思っていたけど、その点吐季はきっと問題ない。

そんな結論を考えるまでもなく自分の中にストンと落とした刹那だ。

「巴、」

「ん〜?」

「勃つわ、」

「……は?」

「煽りすぎだろ。つまるところ俺がどストライクだったって前置きにしか聞こえなかったし、」

「……」

「お前の相手、俺しか無理だわ」

「……」

「フッ、…変態」

狡い。

軽口の中にしっかりとこちらを殺す毒をたっぷり。

自分の結論を肯定する様な吐季に『ほら見ろ』と思ったのなんて一瞬。

俺の相手が吐季しか無理だとか、再確認の一言であり、同時に釘刺しの一言みたいじゃないか。

口調ばかりは小馬鹿にするような言い方なのに。

笑ってるのに目は貪欲にギラギラじゃん。

今すぐにでも食らいつきたいと訴える様な双眸は記憶に新しいのだ。

そんなコチラの思考を全て読み取る様に、僅かに開いた唇もそこから見せる赤い舌先も。

昼間自分に食らいついてきた吐季だ。

ああああああ!!!

もうさ……煽るなよ!?

煽ってるのはどっちだよ!?

今ので完全に昼間の熱が自分の身体で再燃焼したと言うのに、ムカつく事に火種となった男は素知らぬ感じにその意識をメニューへと移すのだ。

早く言えと煽る様に。