確かに21歳なこちらからしたら年齢差だけ見ればその価値観の相違はありそうだけど。
こうして見る分には【おじさん】とは程遠い。
鼻筋はスッと通り、肌は皺があるどころかきめ細かい。
唇なんかも乾燥知らずの荒れ知らずで、髪型やピアスが無ければチャラいなんて印象皆無に美男子なのに。
…いやいや、だったら尚のことチャラ男な見た目で良いのか。
って、話が違う。
ああ、でも、なんだっけ?
あ、そっか、
「まあ、積極的って事に敢えて否定は返さないけど」
「ククッ、カッコイイねえ」
「でも、好きでハマるかどうかは吐季次第だと思う」
「煽るねえ。それとも本気でおじさんのスキル疑うイケズの一種?」
「いや、煽るにしても疑うにしても経験ゼロな未知の領域だし」
「……」
あら?珍しく吐季の意表を突けた感じ?
今の今まで見た目の印象通りにチャラけた言動で切り返し、なんなら視線も他所に受け答えていたくせに。
言葉を失った様な間に視線を動かせば、切れ長であった目をこれでもかと丸く見せてきているからこちらも惚ける。
そんなにサイズの大きな爆弾だったろうか?
と、丁度小首を傾げた瞬間に、ようやく吐季の脳内処理が済んだらしく、ピッとこちらを指差すと。
「…だよなあ!やっぱり俺の予想外れてなかったんだ」
「何が?」
「いや、普通に未経験だって踏んでたのに驚くくらい積極的だったから、自分の勘も鈍ったか?なんてちょっとショックだったもんで、安心」
安心するとこが自分の勘の方かよ。