吐季さんだった面影なんてまるでない。
きっとこっちが本質で、あの口づけてた時の獰猛さが本当の吐季。
今だってそうだ。
余裕に構えて笑っている様に見えてその目だけはギラギラと光って貪欲さをチラつかせている。
捕まったら骨の髄まで食われつくされるんだろうなとゾッとする。
……ゾッと、興奮してるのか。
それにしたってだ、
「一応、」
「ん?」
「女子らしいとこ本当皆無だから」
「フハッ、……うん、」
「口調も男よりな単調だし、……実は一人称【俺】とか言うし」
「良いんじゃない?そっちのが似合ってるって」
「正直、化粧品とか微塵も興味ない。だから【巴ちゃん】みたいに着飾ったりとかマジで無理」
「ああ、全然いいよ。ぶっちゃけ、こんな仕事してる癖におじさんも苦手なんですよ。着飾った女の子~ってやつ?」
「はっ?」
「だから、超ドストライクでぞっこんなんだって。一年前にあの店にバイトし始めた頃から一目惚れで片想いしてんだって俺。着飾り知らずでありのままな巴に」
「っ……ストーカー」
「否定しない」
「変態」
「ありがとう」
「悪食」
「素材の旨味に目が無いんだって」
「悪趣味、」
「ん~、フフッ、……なあ、?その悪態の裏側な本心は?」
「あ~、今日もくっそカッコいいわ。抱きしめて口塞いで黙らせてくんないかな」
「喜んで、」
まさに……有言実行。
寧ろ『遅えよ』えよと言わんばかりに食らいつかれたが正解。