全てが失恋した自分の痛い妄想ならまだ納得できるのに、散らかったレジまわりや店内のざわめきを見る限り現実だ。
更に言えばまだ呼吸が整っていない自分の息遣いも。
「ちょっ…大丈夫?何あいつ!!巴っ!?」
美代がようやく隣に来て色々と声をかけてきているのは分かるのにまるで頭に入ってこない。
だって……今、吐季さんの事でいっぱいだ。
だって、色々となんか分からないよ吐季さん。
いつから【自分】と【巴ちゃん】が同じ人間だって気が付いてた?
それに『好き』ってどういう事?
昨日ははっきりと振ったじゃないか。
好きな相手に一途さを見せて、『告白する』なんて言ってたじゃん。
何?もしかしたら振られたの?だからこっちに今更言い寄ってきた?
……違う。それだと話のつじつまが合わない。
それにそんないい加減な人じゃないって事もよく知ってる。
混乱のままに頭を掻いて、当てもなく視線ばかりが至る所を彷徨ってしまう。
冷静に混乱を並べ変えたいのに、何から手を着けてどれから並べればいいのか分からない。
そうだ、珈琲も用意しなきゃ……なのか?
一応注文でお金を置いていっているんだから。なんて、再度カウンターの上のお金に視線を動かした瞬間。
あ、
なんか……やっと整頓。