本当に?も何も、

「わざわざこんな嘘作っても自分の利得にはならないって」

「っ……じゃあ、本当にあの男とつきあってんの!?あれだよね!?本当にあの男なんだよね?私の記憶違いとか勘違いな相手なら心底ほっとするんだけど、あの……」

「ウチの店でピアス三連チャラスーツ言われてる常連なあの人だね」

「っ~~~勘違いじゃなかった。痛いっ!」

「…美代(みよ)ちゃん、折角の可愛い顔が台無しな苦悶顔だよ」

「っ……やめてっ!そんなイケメン発揮に誘惑しないでっ!うっかり惚れちゃうじゃない!」

「誘惑って……」

「巴(ともえ)は自分が如何にイケメンかを自覚すべきだと思う!」

イケメンか自覚すべきって。

イケメンかどうかは置いておいて、とりあえず自分の容姿に関しては充分に把握していると思うけれど。

それに対する他人からの印象も。

今だってそうだ、女子として平均身長である美代を捉える目線はやや上からだ。

身長176cmで細身の体型。

染めた事のない黒髪は子供の頃から短く切りそろえられている。

発している声音もまたハスキーボイスで。

全てを合わせてしまえば男と間違われる事は必然に近い常日頃。