「ゆっくりでいいんだよ」
「ありがとう」
私は最低な人間だ。優しさが重みに感じてしまうなんて最低だ。こんなに親身になって話を聞いて支えてくれる人がいるのに重みに感じてしまうなんて…誰か私を助けて。
次の日学校に行くと今日も変わらずにみんな私をゴミのような扱いだ。下駄箱にはゴミがたくさん詰め込まれていた。しかも器用に上履きの周りにギッシリと。本当にこの学校の人は暇人ばかりだ。そんなことやってる暇があれのならば勉強でもしていればいいのに。
この世の中は不公平な事に加害者は一緒加害者であり加害者は被害者になる事を避け加害者のフリをし続け仲間を作りあげる。みんな自分が標的になることを恐れて自分に嘘をつき続ける。みんないじめに会うのは怖い。私も加害者の立場ならばきっとそうするはずだ。でも、私はただ自分に正直でありたい。だから一人でいることを選んだんだ。周りには決して惑わされないために。
今日も4時間目に科学があり女子は真面目にその時間だけ授業を受けていた。甘ったるい声で先生に媚を売りながら。どっからそんな声が出てると言うような声で。小山先生は気にせずにみんなにわかりやすく科学を教えていた。本当にこんな人がお兄ちゃんの親友なのだろうか…。
全然実感がわかない。
4時間目が終わりお昼になり私はお弁当を持ち教室を出て人通りの少ない校舎に入り空き教室に入る。基本立ち入り禁止だけど入学当時から私はここでいつもお昼を食べるから安定だ。
私はお弁当を広げて口に運ぶ。この時間が一番幸せなのかもしれない。私は食べたりするのがこう見えて昔から好きだから幸せだ。幸せだって思える瞬間があるのって大事なことだよね。
「いつもここでお弁当食べてるの?」
「…っ」
「名前見た時まさかって思ったけどまさか南斗の妹の美華ちゃんだとはね」
「…」
なんでこの人がここにいるの?まさか付いてこられていたの?それならシックったことをしてしまった。この人とら関わりたくないと思っていた時に限って本人は目の前に現れるものだ。
小山先生は教室に入って来て私の目の間に腰を下ろして座る。そしてコンビニ袋からコーヒーとおにぎりを出して食べはじめる。
「…な、にしてるんですか…」
「ん?一緒にお昼食べようと思ってね?」
「…」
違う。なんで私があなたとお昼を一緒に食べなければ行けないんですか?あなたとお昼食べたい人なんてこの学校に有り余るほどいるのにも関わらずになぜ私なんですかね?小山先生はお構い無しにおにぎりを頬張る。
「ちゃんと喋れるじゃん」
「…。」
「美華ちゃんの話聞いたけど随分酷い扱い受けてるだな?」
「…私のこと、無断で探るのやめてください」
「それは無理だ」
「…っ」
「俺はお前の教師だ。担任じゃないとしてもお前のクラスの授業を持ちここの教師である限りお前の教師だ。それに…南斗が呆れる程自慢してきた可愛い妹らしいからなほっとけない」
「私はいいのでほっといてください」
「田中先生見たいに辞めちまうって?」
「…っ」
「俺を甘くみんなよ?そんな安っぽい気持ちで教師になった訳じゃねーんだよ」
あんまりだ…。"南斗と一緒で人を差別するのが嫌いな人"っていう静香さんの言葉その通りだ。小山先生はお兄ちゃんにどことなく似てる気がする。雰囲気とかそういう話じゃなくて真っ直ぐな心の持ち主な所だ。お兄ちゃんも自分の意見を貫き通す人だった。だとしても私がこの人に心を許すほど簡単な話ではない。
私はお弁当を素早く片付けはじめる。
小山先生はそんな私の手を止める。
「なんで逃げんだよ」
「…」
「何かあんなら言えよ」
「人の事を無断で探るって最低ですね」
「…っ!?」
私は小山先生の手を振り払いお弁当を持ち空き教室を飛び出す。自分から小山先生を突き放すような事をしてしまった事に少し罪悪感はあるけどもこれが正しいに決まってるんだから。
小山先生にだけは…この学校にいて欲しい。
私は教室に戻る。私がお昼中に教室にいることにみんなが不潔に思っている。嫌な顔をして私を睨んでいた。"飯が不味くなる"そんな声が聞こえはじめる。私は気にせず席につき顔を伏せてお昼が終わるのを待つ。でも…
キャーっ…
「…っ」
「半地」
「…」
「俺から逃げ出すなんていい度胸だな?」
あの空き教室から追ってきたのか小山先生が教室に来て私の机の前にしゃがみ込み笑っているけど目がマジだ。けれども私は無視し続ける。
すると、先生がため息をつき私の頭に手を置き優しく話しかける。それを女子が絶叫をあげる
「お昼はちゃんと食べろよ」
「…っ」
何故この先生は平気なのだろうか。私にかまうということがこれからどれだけ恐ろしいことなのか小山先生はまだ気付いてない。女子がこっちを怖い目で今にも殺してしまいそうな目で見ている事すら気付いてない。
小山先生は気にすることなく教室を出ていった。丁度チャイムが鳴りみんな次の授業の準備して移動教室に向かう。私も教科書とノートを持ちみんなより遅れて移動教室につく。
あっという間に時間は過ぎるもので放課後になりみんなが帰り始めていた。私も帰る準備をして玄関に向かう。下駄箱を開けるとそこにはたくさんの紙切れがあった。
"小山先生に近づくな"
"ブスがいきがんなよ"
"小山先生が汚れる"
そんなんばっか書かれている紙だった。私はそれをゴミ箱に捨てて靴を履き替えて学校を出る。べつに私だって望んで小山先生といる訳ではない。小山先生が勝手に私に近寄るんだ。私はちゃんと逃げた。小山先生に被害が及ぶことを気にして。それなのに小山先生は馬鹿なのかな?私のこと知ってるなら近よらなければいいのには…。
次の日の放課後…
バシャッ…バシャッ
「…っ」
「その汚い頭洗ってあげるね?」
「あ、ごめん〜汚い頭がもっと汚くなったね」
「…っ」
これは本格的ないじめだ。今まで私を無視し続ける事や陰でコソコソ笑ってことなどしかしなかったのに今更行動に移しはじめた。バケツに入った水を私にかけて雑巾モップで私の頭をふく。臭い臭いが私にへばりつく。けれども私は動じることなくされるがままだ。
いつかこんな日が来ることを予感していたからだ。女子達が満足してトイレから出てくも私は涙の一つも出ないほどの無感情だ。きっと小山先生が私を構うから女子が嫉妬したんだ。きっと全学年の女子が私がこうなる事を望んでるに違いない。
私はどれだけそこに寝そべっていただろうか。
全身の臭さとベチョベチョな制服を我慢しながら教室に戻るとそこには誰もいなくて静けさだけが私に孤独感を味あわせていた。明日からこれを続けられると考えると憂鬱だ。
私は鞄を持ち重い足取りで教室を出る。通り過ぎる先生は私を見えないような霊のように通り過ぎる。ま、逆に好都合だ。
学校を出ようと玄関に差し掛かった時に後から腕を捕まれる。
「…おまえ…っ」
「…っ」
「何があった」
「…なんでも」
「…送ってく」
…小山先生はそれ以上なにも言わずに黙々と私の手を引き車に乗せて私の家に車を走らせる。お兄ちゃんの友達だけあって家がわかるらしく当たり前のように私の家に向かう。家に着くと私を車から下ろし家のチャイムを鳴らすとお母さんが出てきてびっくりしていた。
「美華何があったの?」
「お母さんご無沙汰してます。小山です」
「え、あの小山くん?久しぶりね」
「今は俺彼女の学校の教師をしておりまして遅くまで学校にいたので送らせて頂きました」
お母さんは"そうなの"といい私は家に入りお風呂へと向かう。小山先生も家に上がりお母さんに招き入れられていた。私は臭い体と頭を必死に何度も洗う。きっとこれから毎日これの繰り返しなんだろうな…。
お風呂を上がりリビングに行くとお母さんと小山先生が楽しそうに会話をしていた。小山先生が私に気付き"上がったのか"と声をかけてくるのを無視して部屋に駆け込む。ベッドにダイブして顔を埋める。
トントンっ…ガチャ…
「辛いか?」
「…」
「お母さんから全て聞いたよ」
「…」
「何で誰も頼らないんだよ」
「…」
「お前は」
「なんで私を構うんですか」
「…え」
「私…助けて欲しいなんて頼んでないです」
「…」
「帰ってください。」
小山先生はなにも言うことなく静かに部屋から出ていった。車のエンジン音が聞こえたからきっと帰ったんだろう。これでいいんだ。誰にも迷惑をかけずに済むんだから。
でも…あの時私に気付いてくれた小山先生に少しだけ安心した自分がいたなんて気が緩み過ぎているのかもしれない。明日から今まで通りに過ごせばいいだけの話だ。少し小山先生の存在に惑わされていただけだ。ただ、それだけだ。
気付いたら私は眠りについていた。目を覚ますと朝の9時を時計が指していた。私焦って飛び起き制服に着替えてリビングに行くとお母さんがいた。
「おはよう美華」
「何で起こしてくれなかったの」
「6時になっても起きて来ないから学校に行きたくないんだと思ってね」
「…行ってくる」
私はお母さんの話を無視して家を出る。どうせ遅刻ならゆっくり行こう。それにしても今日は視界がボヤけるな…体も重いし。寝すぎたのかもしれないな…。
学校につき教室に向かいドアを開けると一瞬みんなこっちを見たけど気にせず先生も授業を進める。私は静かに席につき授業を受ける。周りの奴らはコソコソ何か言っているけれども気にしない。それにしても今日はやけに眠い…。机に顔を伏せているといつの間にか眠りについていた。目を覚ましたのは授業の終わるチャイム音だった。びっくりして体を起こす。
4時間目の授業は科学だ。小山先生に会いたくはないけれども授業に出ない訳にもいかないので渋々授業の準備して席につく。チャイムがなる前に小山先生が教室に入って来て女子達に囲まれていた。一瞬目が合ったけど小山先生から目を逸らした。そりゃそうだよね。昨日あんなこと言ったんだから。チャイムが鳴り授業が始まるも私は睡魔に勝てず眠りにつく。
お昼になり私は目を覚ましお弁当を持ち空き教室に向かう。空き教室で一人お弁当を食べていると…。
ガラッ…
「…」
「…」
「なんだ人いんのかよ」
そこにはここの制服と違う制服を着た高身長の男の子がいた。これはまた整った顔をお持ちで。男の子は私がいるのをお構い無しにズカズカ教室に入って来て私の目の前に座り携帯をいじり出す。なんなんだろう。てか、誰なんだろうか。私は不思議に思い見つめていると。
「地味子に見つめられても勃たねーぞ」
「え…」
「ん?俺のここ?」
男の子は自分の股間に指を指して真顔で私にアピールしてくる。私は理解すると見る見る自分の顔が赤みを得るのがわかった。男の子はそんな私を見て面白がる。
「お前名前は?」
「…美華」
「美華ちゃんね!覚えたわ」
「…」
「つか、お前暗いな?そんな前髪とメガネで顔隠したってつまんねーだろ?」
「…っ!?」
「…っ!?!?…おまえ」
彼は私のメガネを行き良いよく取り前髪をかきあげる。私はびっくりして彼を見つめる。男の子は何故か驚いた顔をして私を見つめている。私は恥ずかしくて男の子を突き飛ばしメガネをかけて前髪を下ろす。
まさか見ず知らずの人にこんなことされるとは思っていなかった。男の子は唖然として一時停止状態だった。そりゃこんなブスを見たら言葉を失うに決まってる。
「へぇ…面白いじゃん。これから楽しみだな」
「…っ」
「俺明日からここに転校してくる朝霧 翔真(あさぎり とうま)二年だ。よろしく」
「ありがとう」
私は最低な人間だ。優しさが重みに感じてしまうなんて最低だ。こんなに親身になって話を聞いて支えてくれる人がいるのに重みに感じてしまうなんて…誰か私を助けて。
次の日学校に行くと今日も変わらずにみんな私をゴミのような扱いだ。下駄箱にはゴミがたくさん詰め込まれていた。しかも器用に上履きの周りにギッシリと。本当にこの学校の人は暇人ばかりだ。そんなことやってる暇があれのならば勉強でもしていればいいのに。
この世の中は不公平な事に加害者は一緒加害者であり加害者は被害者になる事を避け加害者のフリをし続け仲間を作りあげる。みんな自分が標的になることを恐れて自分に嘘をつき続ける。みんないじめに会うのは怖い。私も加害者の立場ならばきっとそうするはずだ。でも、私はただ自分に正直でありたい。だから一人でいることを選んだんだ。周りには決して惑わされないために。
今日も4時間目に科学があり女子は真面目にその時間だけ授業を受けていた。甘ったるい声で先生に媚を売りながら。どっからそんな声が出てると言うような声で。小山先生は気にせずにみんなにわかりやすく科学を教えていた。本当にこんな人がお兄ちゃんの親友なのだろうか…。
全然実感がわかない。
4時間目が終わりお昼になり私はお弁当を持ち教室を出て人通りの少ない校舎に入り空き教室に入る。基本立ち入り禁止だけど入学当時から私はここでいつもお昼を食べるから安定だ。
私はお弁当を広げて口に運ぶ。この時間が一番幸せなのかもしれない。私は食べたりするのがこう見えて昔から好きだから幸せだ。幸せだって思える瞬間があるのって大事なことだよね。
「いつもここでお弁当食べてるの?」
「…っ」
「名前見た時まさかって思ったけどまさか南斗の妹の美華ちゃんだとはね」
「…」
なんでこの人がここにいるの?まさか付いてこられていたの?それならシックったことをしてしまった。この人とら関わりたくないと思っていた時に限って本人は目の前に現れるものだ。
小山先生は教室に入って来て私の目の間に腰を下ろして座る。そしてコンビニ袋からコーヒーとおにぎりを出して食べはじめる。
「…な、にしてるんですか…」
「ん?一緒にお昼食べようと思ってね?」
「…」
違う。なんで私があなたとお昼を一緒に食べなければ行けないんですか?あなたとお昼食べたい人なんてこの学校に有り余るほどいるのにも関わらずになぜ私なんですかね?小山先生はお構い無しにおにぎりを頬張る。
「ちゃんと喋れるじゃん」
「…。」
「美華ちゃんの話聞いたけど随分酷い扱い受けてるだな?」
「…私のこと、無断で探るのやめてください」
「それは無理だ」
「…っ」
「俺はお前の教師だ。担任じゃないとしてもお前のクラスの授業を持ちここの教師である限りお前の教師だ。それに…南斗が呆れる程自慢してきた可愛い妹らしいからなほっとけない」
「私はいいのでほっといてください」
「田中先生見たいに辞めちまうって?」
「…っ」
「俺を甘くみんなよ?そんな安っぽい気持ちで教師になった訳じゃねーんだよ」
あんまりだ…。"南斗と一緒で人を差別するのが嫌いな人"っていう静香さんの言葉その通りだ。小山先生はお兄ちゃんにどことなく似てる気がする。雰囲気とかそういう話じゃなくて真っ直ぐな心の持ち主な所だ。お兄ちゃんも自分の意見を貫き通す人だった。だとしても私がこの人に心を許すほど簡単な話ではない。
私はお弁当を素早く片付けはじめる。
小山先生はそんな私の手を止める。
「なんで逃げんだよ」
「…」
「何かあんなら言えよ」
「人の事を無断で探るって最低ですね」
「…っ!?」
私は小山先生の手を振り払いお弁当を持ち空き教室を飛び出す。自分から小山先生を突き放すような事をしてしまった事に少し罪悪感はあるけどもこれが正しいに決まってるんだから。
小山先生にだけは…この学校にいて欲しい。
私は教室に戻る。私がお昼中に教室にいることにみんなが不潔に思っている。嫌な顔をして私を睨んでいた。"飯が不味くなる"そんな声が聞こえはじめる。私は気にせず席につき顔を伏せてお昼が終わるのを待つ。でも…
キャーっ…
「…っ」
「半地」
「…」
「俺から逃げ出すなんていい度胸だな?」
あの空き教室から追ってきたのか小山先生が教室に来て私の机の前にしゃがみ込み笑っているけど目がマジだ。けれども私は無視し続ける。
すると、先生がため息をつき私の頭に手を置き優しく話しかける。それを女子が絶叫をあげる
「お昼はちゃんと食べろよ」
「…っ」
何故この先生は平気なのだろうか。私にかまうということがこれからどれだけ恐ろしいことなのか小山先生はまだ気付いてない。女子がこっちを怖い目で今にも殺してしまいそうな目で見ている事すら気付いてない。
小山先生は気にすることなく教室を出ていった。丁度チャイムが鳴りみんな次の授業の準備して移動教室に向かう。私も教科書とノートを持ちみんなより遅れて移動教室につく。
あっという間に時間は過ぎるもので放課後になりみんなが帰り始めていた。私も帰る準備をして玄関に向かう。下駄箱を開けるとそこにはたくさんの紙切れがあった。
"小山先生に近づくな"
"ブスがいきがんなよ"
"小山先生が汚れる"
そんなんばっか書かれている紙だった。私はそれをゴミ箱に捨てて靴を履き替えて学校を出る。べつに私だって望んで小山先生といる訳ではない。小山先生が勝手に私に近寄るんだ。私はちゃんと逃げた。小山先生に被害が及ぶことを気にして。それなのに小山先生は馬鹿なのかな?私のこと知ってるなら近よらなければいいのには…。
次の日の放課後…
バシャッ…バシャッ
「…っ」
「その汚い頭洗ってあげるね?」
「あ、ごめん〜汚い頭がもっと汚くなったね」
「…っ」
これは本格的ないじめだ。今まで私を無視し続ける事や陰でコソコソ笑ってことなどしかしなかったのに今更行動に移しはじめた。バケツに入った水を私にかけて雑巾モップで私の頭をふく。臭い臭いが私にへばりつく。けれども私は動じることなくされるがままだ。
いつかこんな日が来ることを予感していたからだ。女子達が満足してトイレから出てくも私は涙の一つも出ないほどの無感情だ。きっと小山先生が私を構うから女子が嫉妬したんだ。きっと全学年の女子が私がこうなる事を望んでるに違いない。
私はどれだけそこに寝そべっていただろうか。
全身の臭さとベチョベチョな制服を我慢しながら教室に戻るとそこには誰もいなくて静けさだけが私に孤独感を味あわせていた。明日からこれを続けられると考えると憂鬱だ。
私は鞄を持ち重い足取りで教室を出る。通り過ぎる先生は私を見えないような霊のように通り過ぎる。ま、逆に好都合だ。
学校を出ようと玄関に差し掛かった時に後から腕を捕まれる。
「…おまえ…っ」
「…っ」
「何があった」
「…なんでも」
「…送ってく」
…小山先生はそれ以上なにも言わずに黙々と私の手を引き車に乗せて私の家に車を走らせる。お兄ちゃんの友達だけあって家がわかるらしく当たり前のように私の家に向かう。家に着くと私を車から下ろし家のチャイムを鳴らすとお母さんが出てきてびっくりしていた。
「美華何があったの?」
「お母さんご無沙汰してます。小山です」
「え、あの小山くん?久しぶりね」
「今は俺彼女の学校の教師をしておりまして遅くまで学校にいたので送らせて頂きました」
お母さんは"そうなの"といい私は家に入りお風呂へと向かう。小山先生も家に上がりお母さんに招き入れられていた。私は臭い体と頭を必死に何度も洗う。きっとこれから毎日これの繰り返しなんだろうな…。
お風呂を上がりリビングに行くとお母さんと小山先生が楽しそうに会話をしていた。小山先生が私に気付き"上がったのか"と声をかけてくるのを無視して部屋に駆け込む。ベッドにダイブして顔を埋める。
トントンっ…ガチャ…
「辛いか?」
「…」
「お母さんから全て聞いたよ」
「…」
「何で誰も頼らないんだよ」
「…」
「お前は」
「なんで私を構うんですか」
「…え」
「私…助けて欲しいなんて頼んでないです」
「…」
「帰ってください。」
小山先生はなにも言うことなく静かに部屋から出ていった。車のエンジン音が聞こえたからきっと帰ったんだろう。これでいいんだ。誰にも迷惑をかけずに済むんだから。
でも…あの時私に気付いてくれた小山先生に少しだけ安心した自分がいたなんて気が緩み過ぎているのかもしれない。明日から今まで通りに過ごせばいいだけの話だ。少し小山先生の存在に惑わされていただけだ。ただ、それだけだ。
気付いたら私は眠りについていた。目を覚ますと朝の9時を時計が指していた。私焦って飛び起き制服に着替えてリビングに行くとお母さんがいた。
「おはよう美華」
「何で起こしてくれなかったの」
「6時になっても起きて来ないから学校に行きたくないんだと思ってね」
「…行ってくる」
私はお母さんの話を無視して家を出る。どうせ遅刻ならゆっくり行こう。それにしても今日は視界がボヤけるな…体も重いし。寝すぎたのかもしれないな…。
学校につき教室に向かいドアを開けると一瞬みんなこっちを見たけど気にせず先生も授業を進める。私は静かに席につき授業を受ける。周りの奴らはコソコソ何か言っているけれども気にしない。それにしても今日はやけに眠い…。机に顔を伏せているといつの間にか眠りについていた。目を覚ましたのは授業の終わるチャイム音だった。びっくりして体を起こす。
4時間目の授業は科学だ。小山先生に会いたくはないけれども授業に出ない訳にもいかないので渋々授業の準備して席につく。チャイムがなる前に小山先生が教室に入って来て女子達に囲まれていた。一瞬目が合ったけど小山先生から目を逸らした。そりゃそうだよね。昨日あんなこと言ったんだから。チャイムが鳴り授業が始まるも私は睡魔に勝てず眠りにつく。
お昼になり私は目を覚ましお弁当を持ち空き教室に向かう。空き教室で一人お弁当を食べていると…。
ガラッ…
「…」
「…」
「なんだ人いんのかよ」
そこにはここの制服と違う制服を着た高身長の男の子がいた。これはまた整った顔をお持ちで。男の子は私がいるのをお構い無しにズカズカ教室に入って来て私の目の前に座り携帯をいじり出す。なんなんだろう。てか、誰なんだろうか。私は不思議に思い見つめていると。
「地味子に見つめられても勃たねーぞ」
「え…」
「ん?俺のここ?」
男の子は自分の股間に指を指して真顔で私にアピールしてくる。私は理解すると見る見る自分の顔が赤みを得るのがわかった。男の子はそんな私を見て面白がる。
「お前名前は?」
「…美華」
「美華ちゃんね!覚えたわ」
「…」
「つか、お前暗いな?そんな前髪とメガネで顔隠したってつまんねーだろ?」
「…っ!?」
「…っ!?!?…おまえ」
彼は私のメガネを行き良いよく取り前髪をかきあげる。私はびっくりして彼を見つめる。男の子は何故か驚いた顔をして私を見つめている。私は恥ずかしくて男の子を突き飛ばしメガネをかけて前髪を下ろす。
まさか見ず知らずの人にこんなことされるとは思っていなかった。男の子は唖然として一時停止状態だった。そりゃこんなブスを見たら言葉を失うに決まってる。
「へぇ…面白いじゃん。これから楽しみだな」
「…っ」
「俺明日からここに転校してくる朝霧 翔真(あさぎり とうま)二年だ。よろしく」