お前なんか生まれて来なきゃ良かったのに。

何度そう言われたことだろう。


私だってこんな家に生まれてきたくはなかった。

だけど、子どもは親を選べない。

毎日死んでしまいたいと考えて、でもそれもできなくて。


早く大人になりたい、そしてこの負の連鎖から抜け出したい、そう思った。

幸せな家庭に育った子より、何倍も努力して、苦労して、やっと手に入れた幸せ。

それを守るために、またあの家と関わらなくてはならないなんて……。


涙が溢れて止められない。

子どもの頃のように、嗚咽を漏らしながら泣いた。


「ちーちゃん、大丈夫。私達がついてるから」


穂香先生もまた、泣きながら私の背中をさすってくれた。


「ちーちゃんはよく泣いて起きてきたもの。あの家にいた時の夢を見て、怖かったって……。そんな怖い想いをもう二度とさせないから。ちーちゃんには幸せな妊婦さんになってもらうの。全ての子に、幸せになって欲しい。それが私達の願いだから」