ねぇ、聞いてないです。




ほんとに聞いてないです。





「なんで言ってくれなかったの?」



「いや、僕もそんなのがあるのを忘れてた」




私の前ですっとぼけている唯兎くん。



実は2年生は修学旅行があるのです。




だから、唯兎くんは修学旅行に行くことになるんだけど…。




「私ひとりじゃん…」



「だ、大丈夫。ユキちゃんもひとりになっちゃうらしいから誘ったらいいよ」




唯兎くんはそういうと涙ぐむ私を抱きしめる。




「唯兎くんがいなくなるのは心の準備が必要なのっ」



「大丈夫だよ、まだあと1週間あるから」



「1ヶ月ぐらいないと無理」




テストも終わり、何かの番狂わせが起こったのか、結果は1位だった。



唯兎くんも安里ちゃんに日本史勝てたらしくて、相当喜んでいたのですが…。




「ごめんね。ユキちゃんは僕が誘っておくから、他のお友達も誘いな?


秋帆ちゃん…?とか、やよいちゃん…とか?」