「ずっと、お願いしてくれるの待ってたのに」



「安里が誘ってくれても良かったんだよ?」



「…だって恥ずかしいもん」




安里は少し顔を赤らめる。



いつも、安里は素直じゃない。



安里からデートを誘ってくれたこともないし、電話がかかってきたこともない。



ただ、いつもそっちから誘って欲しい、っていう雰囲気を匂わすだけ。



頭がいいのに、



恥ずかしがりやで、相当不器用。



まぁ、でも。



そういうところも可愛くて好き。




「可愛い」



「…っ、うるさいっ。



翔が誘ってくれればよかったのっ」




安里は顔を真っ赤にさせて、俺にクッションを投げつける。




「何でいつも誘ってくれるのに、今回は誘ってくれなかったのっ!



ずっと待ってたのにっ」




安里はどんどんクッションを投げつけてくる。




「ちがうじゃん、それは安里が頭悪い奴は嫌いって言うから、嫌われたかと思うじゃんっ」