そう言って安里は俺から目をそらす。



「へ…?」



「私、学年で1番頭いいって言った」



「う、うん。言ってた」



「唯兎くんのお家には行かないでって言った」



「安里?」




何を言いたいのかわからない。



でも安里はブツブツと言葉を紡ぐ。




「翔には勉強も頑張って欲しいって言った」



「言ってくれた」



「私、普段は忙しいけど、テスト前になったら生徒会の仕事もないって言った」



「聞いたよ」




あ、そっか。



そういうことか。



俺が頭悪すぎて気づいてなかっただけか。




「これだけ言っても、わからないかな…?」




「わ、かった…気がする?」




「…なにそれ」




安里はどんどん不機嫌になっていく。




「あー…一緒にいたかった?」



「…最初からわかって欲しかった」



「ごめん」




安里は少しだけ顔を背けて拗ねる。