「翔、お前ほんとやめろでてけ。果乃に触るな」



いつもはこんな言葉をつかわない唯兎くんが少し口悪くなっている。




「ちぇっ、わかったよ、こいつに近づかないから泊めて」




全然わかってないじゃん…。



というか、明日も学校なのに。



とりあえず私は避難しなきゃ。



「唯兎くん唯兎くん。わたしお部屋に戻る」




そう言って、私は走ってお部屋に戻る。



ベッドに潜り込むと、強く目を瞑った。



何あの子ほんとに怖い…。



背の高い葵衣くんより全然怖い。



狂気だよ…。



なんだか、遠いところから唯兎くんの怒号が聞こえてくるなぁ…。



ケンカ、かなぁ…。



ケンカはやだなぁ。



ゆっくりと起き上がって、唯兎くんをのそのそ見にいく。



じっとしてるの苦手なんだもん…。



唯兎くん怪我しちゃったらやだし…。



リビングをちらっと覗き込むと、唯兎くんはぺしっと翔くんの頭を叩いていた。