「わかった、ごめんね」



「…っ、寂しかったのっ。唯兎くんがいないと、寂しいのっ。



だから、いなくなっちゃ、やだ…」




僕は果乃を抱きしめた。




「ごめん、ほんとにごめん」



「もう…唯兎くんがいなきゃダメなの」




果乃は泣きながら顔を赤くしてそう言った。



僕は涙目の果乃の顔をあげさせて目を合わせた。




「そんな、涙目で言わないの」




平静を装う僕。



実際、頭の中では今すぐにでも崩れそうな理性と戦い続けている。




「ふぇぇ…だってぇ…」





果乃はあごに置かれた僕の手に逆らって下を向いてぎゅーっと抱きつく。




ほんとに、可愛い。



もう、手が出る寸前。



やばい…。




僕は抱きつく果乃の腕を振りほどくと壁を向いてへばりつく。




だめだめ、絶対だめ。果乃に怖い思いさせちゃだめ。



大事にするの。そう。大事に、大事に。