まだ髪は濡れてるけど、そんなの乾かしてる場合じゃない。



温度も高いし、ほって置いても乾くでしょ。




部屋のドアをノックする。



コンコンコン





「果乃、まだ、起きてる…?」




すると、カチャッとゆっくりドアが開いて、果乃が隙間から覗く。




「お風呂、入ったの…?」



「うん、入って来たよ」



「もう、変な女の子の匂い、しない?」



「しないよ」



「…っ、唯兎くんっ」




果乃は勢いよく飛び出して来てぎゅーっと抱きついて来た。




「っ、おかえり、なさいっ」



「ふふ、ただいま」




果乃は少し涙声になりながら僕の服を握りしめた。



すると急に僕から離れて叫んだ。




「他の女の子の匂いなんかさせないでっ」





もう、なんか、涙目の果乃が可愛くて仕方ない。



言っていることまで可愛い。