あるところに、ひつじの子がいた。
彼女は、群れの中に上手く馴染めなかった。彼女は集団から孤立していった。あるときから彼女はみんなから敬遠されるようになった。
羊飼いはそれを、見て見ぬ振りをした。

彼女はとても、悲しかった。

別の集団に、仲のいい羊たちがいた。
でも、彼女はその羊たちにも気を遣ってしまい、悲しみを打ち明けられなかった。

彼女は我慢した。

彼女は我慢した。

彼女は我慢した。





とうとう彼女は壊れてしまった。


彼女は自分から群れを飛び出した。


彼女は毎日悪夢を見た。
それはそれはとても恐ろしい悪夢だ。

彼女は毎日その夢にうなされた。

彼女は 気づいたら泣いていた。
涙が溢れるように目から出ていた。

羊飼いがやってきた。
彼女に群れに戻るように迫った。

「大丈夫。君は悪くない。悪いのはわたしだ。」と言った。

彼女は、群れに戻ることを決意した。

でも、彼女が受け入れられることはなかった。

羊飼いは言った。
「これは私じゃなく、羊たちの問題だ」と。


羊飼いは、また、見て見ぬ振りをした。

彼女はまた、違う痛みを覚えた。


彼女はそれからも毎日悪夢にうなされた。

そして、彼女の心には醜い感情が宿ってしまった。

激しい憎悪 、苦しみ、恨み


彼女は腐って………そんなときだった。

彼女と仲のいい羊たち、それから、群れの中にいたごく僅かな羊たちが彼女に声をかけてくれた。

みんな、口々に彼女にこういった。
「気づけなくてごめん」

彼女は嬉しかった。また、新しい感情が芽生えた。

喜びだった。

彼女は、醜い心を全て喜びで
塗り替えたいと思った。

彼女はその羊たちに言った。

「ありがとう」


そして
彼女は思った。


「飾らない強さと勇気を持ちたい」と。
彼女はその集団の群れを離れ
違う集団の群れに入れることになった。


しかし、そこに彼女の知っている羊は一匹もいない。

しかし、彼女にとってそれは好都合だった。

(だってもし昔の私を知っている羊がいたら、きっと私を敬遠するでしょ?)


新しい集団の群れはとても心地よかった。

彼女は感じた、(私が今まで見ていた世界は本当に小さな世界だったんだ。)と。

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