「しーらない」
「俺の分もやるからさ。頼むよ。英語がピンチ」


なんだ。わからないところがあるんだ……。


「ふーん」


本当は一緒にやりたいけど、悔しくて素直になれない。


「俺とお前の仲じゃん」


ドキドキするから、軽々しくそんなことを言わないで。

俊介は学校でも私を特別扱いする。
だけどそれは小さい頃からよく知っているからだろう。


私が彼に抱いている気持ちとは、きっと違う。


「シュー、二個ね」
「よし、交渉成立!」


彼はテンション高めに喜んでみせながら笑みを作った。


一旦家に戻って、私服に着替えてから隣に向かう。

それなのに、関戸家のチャイムを鳴らしても応答がない。

車がなくおばさんはいないようだけど、俊介はついさっき帰ったばかりなのに、どうして?


「俊介、私」


一応インターホンに向かって話してみたものの、玄関が開くことはない。


「寝ちゃった?」


まさかねぇ。