おもむろにライラが顔を上げ、目が合った瞬間、スヴェンはライラを抱きしめたままベッドに倒れ込んだ。素早く体勢を変えられ、スヴェンが上になる。

 背中にベッドの柔らかい感触を受け、目の前には整った顔のスヴェンが情欲の色を宿した瞳で自分を見下ろしている。声も出せず、ライラは相手をただじっと見つめた。

 頬に手を添えられ、スヴェンが愛おしげにライラに触れる。大きくて骨ばった手は優しくて温かい。無意識に目の奥に熱がこもり、ライラは衝動的に声を漏らした。

「……スヴェンが好き。こんなふうに誰かを望むのは初めてなの」

 今まで誰かと関わるのが怖くて避けていたのはライラも同じだった。正直な想いを口にすると、スヴェンは一瞬だけ目を丸くし、すぐに微笑む。

「それはこっちの台詞だ」

 それを聞いてライラの顔にも笑みが浮かぶ。少しだけ心が和らいだライラは自分からスヴェンに手を伸ばした。

「寒い」

 意表を突かれたスヴェンからの反応を待たずに、ライラは彼から目を逸らさずに続けた。

「だから、温めて」

 スヴェンの表情が、すぐにいつもの余裕めいたものになる。

「どうやって?」

「それは……その、スヴェンにお任せします」

 たじろぐライラの頭をスヴェン優しく撫でる。そのまま瞼に口づけが落とされ、ライラは幸せな気持ちで彼に身を委ねた。