マーシャが慌てて鏡を用意し、自分の瞳を確認する。
ライラの金に輝く左目は、右目と同じ穏やかな緑色になっていた。片眼異色と称されていた跡形など微塵もない。
ライラは自分の身に起こっている現状がにわかには信じられなかった。十八年間も異なる瞳の色と付き合ってきたのだ。それが、こんなあっさりと消えるなんて。
気が動転するライラをフォローし、マーシャは朝支度を整え始める。朝食もあまり口にできず、何度も左目を覆ってみるが、これは夢ではないらしい。
自室の鏡台の前に座り、マーシャに髪を整えてもらいながら鏡の中の自分を見つめる。やはり瞳の色は両方ともダークグリーンだ。
「左目を隠していた髪も切ってしまいましょうか?」
鋏を手に持ち、マーシャが聞いてきた。不揃いなうしろ髪を切り揃えるためだったのだが、ついでにという話らしい。
ライラはしばし返答に迷ったが、たどたどしくも頷いた。マーシャの態度は普段とあまり変わらない。動揺しているのは本人ばかりだ。
緊張して見つめていると、鋏の小気味にいい音と共に視界が開けていく。逆に眩しいくらいだ。両目でじっくりと世界を見るのはいつぶりだろうか。
髪と共にライラの十八年分の重みも落ちていく気がした。けれど、どうしてもすっきりしない。
「いかがですか? どこからどう見ても、普通の年頃のお嬢さんですよ。これでこれからは周りの目を気にせずにすみますね」
ライラの金に輝く左目は、右目と同じ穏やかな緑色になっていた。片眼異色と称されていた跡形など微塵もない。
ライラは自分の身に起こっている現状がにわかには信じられなかった。十八年間も異なる瞳の色と付き合ってきたのだ。それが、こんなあっさりと消えるなんて。
気が動転するライラをフォローし、マーシャは朝支度を整え始める。朝食もあまり口にできず、何度も左目を覆ってみるが、これは夢ではないらしい。
自室の鏡台の前に座り、マーシャに髪を整えてもらいながら鏡の中の自分を見つめる。やはり瞳の色は両方ともダークグリーンだ。
「左目を隠していた髪も切ってしまいましょうか?」
鋏を手に持ち、マーシャが聞いてきた。不揃いなうしろ髪を切り揃えるためだったのだが、ついでにという話らしい。
ライラはしばし返答に迷ったが、たどたどしくも頷いた。マーシャの態度は普段とあまり変わらない。動揺しているのは本人ばかりだ。
緊張して見つめていると、鋏の小気味にいい音と共に視界が開けていく。逆に眩しいくらいだ。両目でじっくりと世界を見るのはいつぶりだろうか。
髪と共にライラの十八年分の重みも落ちていく気がした。けれど、どうしてもすっきりしない。
「いかがですか? どこからどう見ても、普通の年頃のお嬢さんですよ。これでこれからは周りの目を気にせずにすみますね」