「昨日はいいって言ったけれど、やっぱり私と結婚している間はジュディスさんの……他の女の人のところには行かないでほしいの」

 打って変わってライラの声の調子は弱々しいものになる。

「私じゃ、彼女の代わりにはなれないけど……」

「ならなくていい。代わりになる必要なんてない」

 ぎこちなく付け足した言葉は、瞬時に否定された。今度はスヴェンからライラにしっかり目を合わせる。

「今はお前と結婚してるんだ。他の女はいらない」

「……うん」

 有り難いような、申し訳ないような。でも嬉しくてつい笑みが零れる。その顔を見て、スヴェンはライラを抱きしめた。

 不意打ちに狼狽えるライラにスヴェンは耳元で囁く。

「俺のものだって認めたんだから、俺が満足するまで付き合ってくれるんだろ?」

 意味をどう捉えていいのかわからず、ライラは混乱しながらも言い返す。

「で、でもそれを言うなら、結婚してるんだしスヴェンだって私のものってことなんだよ?」

 言ってからライラはすぐに心の中で否定する。結婚しているとはいえ自分たちの立場は対等ではない。

「そうだな」

 けれど、聞こえてきた言葉に耳を疑う。目をぱちくりとさせスヴェンを見れば、意外にも穏やかに微笑んでいた。その表情にライラの目の奥が熱くなる。

 目尻にキスされたのを皮切りに、宣言通りスヴェンの気が済むまでライラは彼からの口づけを受け入れた。