そして昼時を過ぎた頃、前触れもなく部屋にノック音が響きライラは読みかけの本を反射的に閉じた。自分が出るわけにもいかず、マーシャが来客の対応に向かう。
誰だろうか。ライラは心の中で予想しては、すぐに打ち消す。しかし誰かが部屋に入ってくる気配はなく、ややあってマーシャがあるものを抱えて戻ってきた。
手には小ぶりの花束を持っている。とても目立つ色合いだ。形は百合の花弁に似ていているが二回りほど小さい。
色はピンクに近い赤。胸をざわつかせる色で強烈なインパクトを抱かせる。おかげでライラはどこかで見覚えがあった。
「どなたからの贈り物でしょうか? それにしても枯れかかっている花とは失礼ですね」
――枯れかかっている?
「待って、マーシャ!」
マーシャの言葉にライラはとっさに声をあげる。マーシャは花を確かめようと花束に顔を寄せていた。
そしてライラの方を見ようとした瞬間、マーシャの顔が真っ青になり、その場に膝を崩して倒れ込んだ。
「マーシャ!」
そばに寄れば、マーシャは荒い息を繰り返しながら首に手を持っていき、もがく仕草をしている。
そこではっきりと思い出した。この花は『ディスプヌー』という名で、別名『赤の窒息』と呼ばれているものだ。
誰だろうか。ライラは心の中で予想しては、すぐに打ち消す。しかし誰かが部屋に入ってくる気配はなく、ややあってマーシャがあるものを抱えて戻ってきた。
手には小ぶりの花束を持っている。とても目立つ色合いだ。形は百合の花弁に似ていているが二回りほど小さい。
色はピンクに近い赤。胸をざわつかせる色で強烈なインパクトを抱かせる。おかげでライラはどこかで見覚えがあった。
「どなたからの贈り物でしょうか? それにしても枯れかかっている花とは失礼ですね」
――枯れかかっている?
「待って、マーシャ!」
マーシャの言葉にライラはとっさに声をあげる。マーシャは花を確かめようと花束に顔を寄せていた。
そしてライラの方を見ようとした瞬間、マーシャの顔が真っ青になり、その場に膝を崩して倒れ込んだ。
「マーシャ!」
そばに寄れば、マーシャは荒い息を繰り返しながら首に手を持っていき、もがく仕草をしている。
そこではっきりと思い出した。この花は『ディスプヌー』という名で、別名『赤の窒息』と呼ばれているものだ。