「そう・・・なんですかね?」


「・・・・・俺に聞くなよ」


「いや、なんかこう望様から強烈に香るあのキツイ香水の匂いを感じるとイライラムカムカと・・・」


「まるで俺が元凶みたいで嫌な言い回しするな」


「もうそのせいで望様の先見がぼやけてぼやけて・・・・、そんな事望様に知られたら弁明の余地なく放り出されそうで・・・」


「ほう、俺を何だと思ってるお前は」


「良くも悪くも望様です」



相変わらず訳の分からない事を・・・。


ずけずけと失礼な事を躊躇いもなくぶつけ、俺を悪戯に翻弄してあの緊張感のない頬笑みを向けてくる。


一度だって・・・・四季に勝てた事が無いな・・・。


大道寺の暴君である俺が子供の様な魔女に遊ばれる。


魔女というには家庭的すぎて・・・・迫力に欠けるが。


そんな事を思い、気がついた今日はまだ言われていない言葉。


夜風を受けながら星を見上げる四季の集中を集めるようにその頬に触れてみる。


そしてゆっくりと俺を写し込むグレーの瞳とその笑顔。






「・・・・・・・ただい・・ま?」





自信なく声を響かせれば驚いた四季が俺を見つめ、そして何の涙か流れ出るそれで頬を濡らした。




「なぜ・・・泣く・・・」


「だ、だって・・・の、望様が成長を・・・・」


「馬鹿にしてんのかお前・・・」


「喜んでいるんですぅ・・・ううっ・・・」


「おい、何か言う事あるだろ」



呆れながらもそわそわとそう告げればきょとんとした四季の表情がその答えを見つけると柔らかく笑った。



「おかえりなさいませ・・・望様」


「遅いんだよ馬鹿女」



わざと不機嫌な顔を作り上げ馬鹿にしたように見下すと、それとは伴わない行動で四季を引き寄せ唇を重ねた。



「んんっ・・んふぁ・・ん」


「・・・っ・・キスしながら喋るんじゃねぇよ馬鹿女」


「だって・・・んんっーーーーー」



もういい。


そんな事を思いながら声を奪う様に重なりを与え、四季の体を自分中に閉じ込める。


角度を変えながらキスを繰り返すうちに四季の頬と自分のそれが何度か触れ。


頬を濡らしていた涙が自分の頬にも触れて広がった。