そしてもう一度馬鹿でかい箱に収まっているそのケーキを見つめてクスリと笑う。


四季が見たら・・・過剰な反応で笑いそうだと。


いや・・・嬉しすぎて泣いたりしてな。


そんな事を思い夜に確認する為の書類をまとめてケーキ片手に帰宅したのがさっきまでの事。


そうして前に戻れば・・・。







「四季・・・・お前の仕事の時間なんだよ」


「無理です。すっごい高熱で喉まで枯れてるっていうか・・・」


「めちゃくちゃクリアな声ですらすらと嘘つくんじゃねぇよ」


「ごほっ・・げほっ・・・眩暈が・・・・」


「そのまま一回死んでこい」



一向に姿すら見せない四季がこれ見よがしな嘘で俺を完全に拒否するのに怒りを通り越して頭を抱える。


まさか昨日の事を今も引きずって来るとは思ってもみなく、さすがに今日になればいつものあいつに戻ってると思ってたんだ。



「四季・・・・」


「今日は・・・・しません。明日も明後日も・・・お約束できません」


「それは・・・元の契約自体を破棄する発言になるぞ」


「・・・・っ・・・でも・・・出来ない」



まただ・・・また四季らしからぬ感情的な声。


それに反応して扉を開こうとするもカチリと手に走る衝撃に舌打ちする。


あの馬鹿・・・・立てこもりかよ。


しっかり施錠されている部屋の扉に何とも言えない憤りで勢い任せにドンと一度その手をぶつけた。




「・・・・・・・開けろ」


「・・・・・嫌です」




もう・・・嫌だこの馬鹿女・・・。


グッと感情を飲みこんで、限界だと思うと足早に自室に戻る。


乱暴に扉を開けて明かりもつけずにデスクに向かうと一番上の引き出しから目的の物を取り出しすぐに入口に踵を返した。


廊下を靴音を響かせ感情的に歩くと未だに開かずの扉であるそこを再度叩いて声をかけた。



「四季・・・最後通告だ開けろ」


「・・・っ・・・また来たんですか!?」


「おい、家主に向かってその口のきき方はなんだ?」


「もう・・・本当に放っておいてください」



そうかよ・・・、俺は一応礼儀は払ったからな。


頑なな態度の四季にもう付き合いきれないと手にしていた物をカチャリと鳴らす。


それをそのまま扉のカギ穴に差し込むと何の躊躇いもなくガチャリと音を響かせた。