そして感じる自己嫌悪。


何で・・・何で俺この馬鹿女にキスしたんだ?


そう童話の様にキスをしたからといってそんな甘い感情が生まれる筈もなく、そのまま眠りについた四季は案の定その事は記憶していないらしい。


あの時何故か惹かれるままに唇を重ねその心地よさにしばらく溺れた。


だけど今思えば全て夢だったかのように感じるし、起きて意識のあるこの女は相変わらず鬱陶しい。


そんな思考を巡らせて、鬱陶しいまで思考が働いた時に四季が嫌に静かだと気がつき体を捻る。


思わず声をかけたのも失敗だったと後悔する。



「四季・・・んんっ・・・」



口に容赦なく突っ込まれ、その甘みを広げるふんわりとした食感。


でもこの前の様な殺人的な甘さでなく素朴なそれに意外とすんなり喉を通る。


そして捉えた四季はいつもの様にふわりと微笑んだ。



「ね?今回は大丈夫でしょう?」


「・・・・・食えなくはない」


「ふふ、望様的の称賛と受け取っておきます」



相変わらずの前向き思考。


ここまで自分にいいように取れるのはある意味才能だとも思ってしまう。


結局四季の思惑通りに口にしてしまった事に半ばあきらめ体を起こすと、四季の膝の上にあった皿からフォークにそれを突き刺し口に運んだ。


特別何も考えずに行動したそれ。


口に運び飲み込んだ直後に何の気なしに四季に視線を移してみれば、恍惚とした表情で俺を見つめて声を失っている。


軽く引いて眉根を寄せるともっていたフォークを皿に戻そうと手を伸ばした。



「あっ、どうぞ好きなだけお食べください望様」


「いい、なんか・・・・食欲失せた」


「せ、せめてもう一口・・・」


「いい、これから約束がある」



そう言って差し出してくる皿を押し返して立ちあがると、着替えをする為に隣の部屋に歩き出す。


約束があるのは本当で、もう何度か関係を持っている女の定期的なご機嫌取りの逢瀬。


軽く面倒くさいと思い早々に切り上げようとスケジュールを頭に描く。





「・・・・・・・・女性の方と・・・・お会いになるんですか?」




不意に投げかけられた問いに何だか違和感を感じ振り返る。