聞かれた質問にすぐに心の中でだけ答え、まどろんだ目で見上げる四季には。



「・・・・交渉?」


「・・・・こんな夜中に?」



さすがに苦しかったな。


そんな風に次の突っ込みにどう切り返そうかと迷っていれば、そこは期待を外さない馬鹿女様。



「・・・勤勉なんですねぇ」



そんな的外れにも程があるセリフを口にして微笑む姿。


さすがにだいぶ慣れてきたぞ。


もう突っ込む事すら面倒になると眠そうにしている四季にそれを促し声をかけた。



「おい、もうベッドで寝ろ」


「・・・・・お構いなくぅ・・・」



言うなり俺とは逆のソファーに身を沈めそのまま眠ろうとする四季に頭を抱える。


こいつ・・・動くのが面倒なんだ。


そして絶対にもうここで寝たら朝までここだろう。


確信を得てそう言い切れる事態に溜め息をついて四季を再度見つめた。


すでに寝息を立て始めている姿はその着ているウェアのせいか何かの妖精の様で、月明かりに照らされどこか神聖な物にも見える四季に不動になる。


同じ・・・女なのにな。


両方馬鹿だと見下して自分の手駒の様に扱っているのに、その存在価値を示せばその差は大きく開いてしまう。


ただの気紛れに欲を満たすだけの支配されすぎる女。


片やこの目の前の女ときたら・・・・。


まったく俺に支配されず、逆にその言動で振りまわす。


ただ人を翻弄して足を引っ張るだけの存在に感じればすぐにその能力で存在価値を高めにくる。


どちらが俺にとって必要かと問われれば間違いなくこっちを選ぶんだろうな。



「・・・・・馬鹿は馬鹿でも・・・・・使える馬鹿だったな」



そう届かないであろう言葉を四季に向け、聞いていたら的外れに喜びそうだと小さく笑う。


そのまま立ち上がると小ぶりな体を抱えあげ寝室の扉を開き秋光がすでに眠っているベッドに静かに下ろした。


軽いなこいつ・・・、俺よりも自分に栄養つけろよ。


そんな感想を抱いて四季の体に視線を走らす。


少し四季には不釣り合いな色気の孕んだナイトウェアは胸元が大きく開いたデザインで、そこからそれに見劣りしない程よく肉つきのいい胸のラインに思わず視線を止めてしまった。